575577(松村)
角川「短歌」5月号の巻頭に河野裕子さんの「日本古謡さくら」30首が載っている。娘の結婚や自分の体調について詠んだ歌を、しみじみとした思いで読んだ。
わたしらを置いてゆくにはあらざれど待つ人の大きな傘にこの子
入りゆく
結婚はひと月後(のち)に迫れども連れだちて鍋や皿など買ひに
も行けず
われらよりだいじな人となりて欲し長い時間父母(ちちはは)として
この子護りき
俯きてスープ啜りつつ涙落つ固形物食へなくなりて三月(みつき)
は経たり
楽しんで生きてゆくのよ二、三年は、窓が開(あ)き青い空からささ
やきくるる
最初に読んだ時には気づかなかったのだが、よく見ると、これらの歌は四句が大幅に字余りで、5・7・5・12・7になっている。その割には、なぜかすーっと読める。あるいは「57577」ではなく「575577」みたいに読むのかもしれない、などと思う。もちろん、意識して作ったリズムと言うのではなく、自然に生まれたリズムのような感じがする。
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