ブログ

アーカイブ "2023年"

昨晩は、娘とふたりの夜ごはんでした。

というわけで、9歳の娘と一緒に作ってみました。

オムライス、ならぬ、王蟲ライス。

王蟲の殻は、卵3個に茹でた法蓮草を混ぜて薄焼きにしています。法蓮草はミキサーで上手く回らなかったので、すり鉢でごりごり。

口元から出ているうにょうにょは、ベビースターラーメン。

攻撃色の目はもちろんミニトマトですが、斜面を滑り落ちるので、娘がケチャップで貼りつけていました。目の数が分からず適当につけましたが、あとで調べると本来は14個だそうです。

周囲には、ちょっとあっさり目の腐海。

中身は豚肉チャーハンです。

直径28cmのお皿に乗っています。けっこうなボリューム。味は無事に美味しかったです。

一度作ってみたかったので、満足。こんなことを一緒になって面白がってくれる子どもで嬉しいです。

これも昆虫食の一種かな?「なんてひどいことを!」とナウシカに言われてしまいそう。

ネット上にはさまざまな王蟲ライスが溢れていますが、最初に、オムライス→王蟲ライスを考えた人はすごいと思う。

すでに人の絶えたる街に遺されし椅子ありて虫のたぐひが棲める  富小路禎子

この虫も永遠とかいふところまで行つちまひたさうに這ひ急ぎをる 前川佐美雄

こんにちは、会員部の小川和恵です。
住所、登録名等の会員情報変更の受付窓口を担当しています。

以下は、毎年この時期恒例の記事なのですが、とても重要なので今年も書きます。

3月・4月は、進学・就職・転勤等で、引越の多い時期。
塔の会員の方の中にも、転居される方が多くいらっしゃるかと思います。

転居等に伴い、毎月の「塔」の発送先が変更になる場合には、必ず私・小川まで届け出てください。
(連絡先は「塔のひろば」末尾の「原稿などの送付先 届出・問合せ先一覧」を参照のこと。)

なお、マンション・アパートの場合には、マンション名・アパート名を省略せずに正確にご記入ください。
これが省略されたために「塔」が届かなかった事案が多発しています。

また届出は前月の20日までにしていただく必要があります。
例えば、4月号から変更の場合には、3月20日までに届け出てください。
したがって、できれば実際に転居してからではなく、新住所が決まり次第、できるだけ速やかに届け出ていただくことが望ましいです。

届出が21日を過ぎた場合には、翌々月号からの変更になります。
この届出が遅れたために「塔」が受け取れなかった場合には、再送いたしません。
原則として、バックナンバー購入の手続をとっていただくことになります。

転居等で発送先が変更になる場合には、決まり次第できるだけ速やかに私・小川まで届け出ていただきますよう、お願いいたします。

写真は、本文とは全く関係ありませんが、最近作った針休め2種です。
中にマグネットを入れているので、針がスッとくっつきます。

沈丁花いまだは咲かぬ葉がくれのくれなゐ蕾匂ひこぼるる 若山牧水『朝の歌』

三月に入って、一気に春めいてきた大阪です。

この時期、楽しみなのが沈丁花。
通勤途中にある病院の駐車場の隅っこにひっそりと植わっていて、普段は忘れているのですが、
春のはじめに上品な匂いが漂ってくると、「あ、そうだここは」と
沈丁花スポットだったことを思い出し、ひとりほくそ笑むのです。

若山牧水は沈丁花の歌をいくつか作っていますが、
「花二三」という短編にも沈丁花のことを書いています。

 

 梅のかをりを言ふ人が多いが、私は寧ろ沈丁花(ぢんちやうげ)を擧げる。梅のいゝのは一輪二輪づつ枯れた樣な枝の先に見えそめた時がいゝので、眞盛りから褪(あ)せそめたころにかけては誠に興ざめた眺めである。そしてその頃になつて漸く匂ひがたつて來る。もつとも一輪摘んで鼻の先に持つて來れば匂ふであらうがそれでは困る。何處に咲いてゐるのか判らない、庭木の日蔭に、または日向の道ばたに、ありともない風に流れて匂つて來る沈丁花のかをりはまつたく春のものである。相當な強さを持ちながら何處か冷たいところのあるのも氣持がよい。 「青空文庫」より引用(底本は『若山牧水全集 第八巻』雄鶏社)

沈丁花のひっそりとしたたたずまいと甘く上品な香りに、牧水も春を感じていたのだなあとうれしくなりました。「どこか冷たい」というのも分かる気がします。

春本番まで、まだもう少し。沈丁花の香りを楽しみたいと思います。

少し前の話を。

年明け、一月二日に虹を見ました。
しかも二重の虹、ダブルレインボー。

写真を撮ることが出来たので
これはブログに載せなきゃ!今年はいいことありそうだ~
と思っていた矢先、体調を崩してしまい、ようやく書いています。

その時の写真がこちら。(写真だと分かりづらいかもしれません)

二重虹について調べてみると、内側のはっきりと映る虹を主虹、
外側のぼんやりとした虹を副虹、と呼ぶのだそう。
そしてこれも調べるまで気づきませんでしたが、
色の順番が反対になっているんですね。
主虹は水滴の中で一回反射するのに対して、副虹は二回反射することで、そのように見えるそうです。

「虹の上に、虹があるよ!」と一緒にいた娘に一生懸命説明しているうちに、
副虹の方は見えなくなってしまいました。
ささやかな、この冬の思い出です。

このごろ、幼いころ・若いころに親しんだ著名人の訃報に接することが多くなり、その度に「ああ、あの方が…」とショックを受けています。

作家の永井路子さんもそんなお一人。
先日、97歳でお亡くなりになったとニュースで流れてきたときには「ついに永井さんも…」と思い、大きな穴が空いたような気持になりました。
永井さんの小説やエッセイ集は大好きで、今でも20冊以上は書棚に並んでいると思います。

永井さんのファンになるきっかけは高校3年生の時。
大学受験を間近に控えた学年となり、クラスの友人との会話も勉強や受験に関する話題が増えてきていました。
私は社会科は世界史を選択することにしていたのですが、覚えないといけないことが山のようにあって、でもなかなか覚えられないのですよね…
そんなとき、同じ世界史選択の友人が「これを読んだら、すごく世界史の出来事が頭に入ってくるよ」と薦めてくれたのが、この本でした。

(これ、高3の時に買った実物です。未だに我が家にあります。)

文庫本で手に入れやすかったこともあり、すぐに入手して読んだら、
何これ! 面白い!
世界史にも登場するような女性たち(それも、いろいろな時代の)の生涯について、時代背景や彼女を取り巻く人々の描写も交えながら、分かりやすい文章で紹介した文章の数々。
例えば、アグリッピナ(暴君ネロの母)、エリザベス女王やメアリ・スチュアート、マリア・テレジアにマリー・アントワネット、エカテリーナⅡ世、則天武后、それから神話の世界とも言えるトロイのヘレンやサロメ、またサッフォー、エロイーズ、ローザ・ルクセンブルク、などなど。
あっという間に夢中になりました。
そして、確かに世界史のあれやこれやが頭にすっと入ってくるような気がしました。
(だからといって、世界史の成績が急上昇したわけではないのが悲しいところですが。)

これをきっかけに、永井さんの文章がすっかり好きになり、まずは同じ「歴史をさわがせた女たち」シリーズを集め、それから他のエッセイ集、そして小説も何冊も買い集めました。
特に好きなのは『美貌の女帝』(元正天皇)、『朱なる十字架』(細川ガラシャ夫人)、『流星 お市の方』など。
また、『今日に生きる万葉』などは、万葉集をとても親しみやすいものに感じさせてくれました。

永井さんの文章は、その文体そのものも好きですが、歴史上の事象について、とことん調査し、とことん原資料にあたって確認し、そういった膨大な作業の上に得られた情報を合理的に解釈しながら書いている、そういった説得力のある文章であるという点に非常に魅力を感じてきました。
また、それまでの通説的なものや、それまでご自身も信じていた俗説的なものについても、きちんとした裏付けがあればそれを覆すことも厭わない、そういった潔さにも惹かれていたような気がします。

永井さんは亡くなってしまいましたが、文章を読むと、永井さんに語り掛けられているような気分になります。
実際に永井さんの声を聞いたことがあるわけではないのですが、そういう気持になるのです。
そういうものを遺せたということは、ものを書いてきた人間にとって、とても幸せなことだったのではないかと思います。

岡部です。ちょっと、失礼いたします。
もうすぐ弥生三月。街角に雛飾りを見かけることも多くなりました。
お雛様をかたどった、和菓子を頂戴しました。とても綺麗で
自分だけ見ているのは勿体ない気持ちがして、おすそ分けいたしたく、
こちらでお披露目することにしました。

中央が落雁でできたお雛様。他の装飾的なお菓子の多くに練りきりが使われ
ています。練りきりは、水飴と求肥を練り合わせて作られ、柔らかいので
細工がしやすく、和菓子の世界では素材としても重宝されています。
きれいに形成できるうえに、口当たりも良く、美味しいのです。

かつての雛菓子といえば、ひなあられか、菱餅が主流でしたが、
お菓子の世界は移り気で、どんどん変化し、豪華になってますよね。

 ひなあられおのこがさげて帰りくればひろげてわれはともに食みゆく
               三枝昂之『塔と季節の物語』

先日…といってももう2週間以上前になってしまいましたが、「2023あけましておめで塔! オンライン新年会」を開催しました。
おかげさまで、【昼の部】のパネルディスカッション、【夜の部】の懇親会共々、多くの会員の方にご参加いただき、とても充実した時間になったのではないかと思います。
ご参加くださった方、また開催に当たってご協力くださったみなさま、本当にありがとうございました。
今回は残念ながら参加できなかった会員のみなさま、今後もこのようなオンラインでのイベントを開催する予定ですので、次の機会にはぜひご参加ください。

そのオンライン新年会の【昼の部】ですが、現在「塔短歌会YouTubeチャンネル」に於いて、期間限定で公開中です。
期間中は、会員内外を問わずどなたでもご視聴いただけますので、リアルタイムでは参加できなかった方も、「参加したけどもう一度聞きたい」という方も、アクセスしてみてください。

 ここをクリック↓
 

【昼の部】のパネルディスカッションの内容は

 第12回塔短歌会賞・塔新人賞を語る~連作を読む・作る視点から~
 パネリスト:紫野春、田村穂隆、長谷川琳、
       宮地しもん、小林真代(司会進行)

となっております。
当日は、詠む(連作を作る)立場、読む立場、双方からの視点を交えながら、熱いディスカッションが交わされました。
熱すぎて、予定時間をオーバーしてしまったほど(それでも「もっともっと聞きたい!」と思ったのは私だけでしょうか?)。
終わりの方では、今回のパネルディスカッションで取り上げた作品(塔短歌会賞、次席、塔新人賞)の作者の方からもコメントをいただいています。
(なんと、作者は全員出席していたのです!)

なお、このパネルディスカッションの公開は2/26(日)までの期間限定となっています。
気になる方は、どうぞお早めにアクセスしてください。

それから「塔短歌会YouTubeチャンネル」の常設動画の方も、よろしくお願いします。
(このホームページのトップページにバナーが貼ってありますので、そこからアクセスできます。)

社団法人総会出席のために出かけた名古屋。ついでにトヨタの
産業技術記念館を訪ねたことは先回触れましたが、他に、有松絞で
有名な旧東海道の鳴海宿近くの有松へも、足を運びました。

十返舎一九『東海道中膝栗毛』にも

 ・・・旅人を見かけて「おはいりなされ・・名物有松しぼりおめしなされ・・」
 弥次「・・ええ、やかましいやつらだ

   ほしいもの有まつ染よ人の身のあぶらしぼりし金にかへても

と、いつものようにおちゃらけている場面があります。少しだけですが
江戸の雰囲気を残す家並みが連なっていて

有松・鳴海絞会館に入ってみました。一階は店舗。二階は小さな展示場になって
いて(二階だけ有料)素晴らしい絞の作品に息を呑みました。

絞にはいろいろな技法があって、ごく一般的な鹿の子絞などの他、三浦絞
縫絞、巻き上げ絞、蜘蛛絞、柳絞、さらにそれらを組み合わせたもの・・。
ちなみに上の写真の着物は、蜘蛛絞のようです。

こちらは絞でこしらえた甲冑。

「塔」会員の池田幸子さんは、この鳴海にほど近い地にお住まいです。

  藍甕の多くありし頃手越川は藍染川と呼ばれ流れき
 「高い、たかい。まけなせい」と弥次さんが有松絞りを値切りしあたりか
              池田幸子『繭のような白き時間』

ページトップへ