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今春、富山県高岡市を訪れる機会がありました。
町なかを一人で歩いていて、市立博物館をみつけ、入ってみると
面白い展示の数々。つい時間を忘れて見入ってしまいました。

こちらは高台にある田圃へ、用水をくみ上げるための足踏車の写真です。
多くは炎天下の作業になったでしょう、想像すると過酷な労働ですよね。
明治から昭和初期にかけて、写真のような水車状の器具は、色々な場面で活躍して
いて、短歌にも多く詠まれています。こうした現場を知る(或いは想像する)
ことができる、という点でも、近代短歌は興味深いものです。

水車や踏車は明治以前からのものでしょうが、作業現場が歌に詠まれるように
なったのは、明治以降になってからのことですから。

 冬日和こんにやく玉を粉に搗くと白きほこり立つ水車小屋の上
                     古泉千樫『青牛集』
 
 群馬県西部での作品。蒟蒻製造の過程でも水車が使われていたのですね。

 山おくの小村の日和ものおとは秋田のなかに米つく添水
                     中村憲吉『しがらみ』

こちらは広島県での作品。憲吉の実家は酒造業を営んでいて、醸造用の米を
搗くために、添水(そうず)と呼ばれる水車の一種を使っていたようです。

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