ブログ

アーカイブ "2020年01月"

ネズミの仲間といえば、ディズニーのミッキーとミニーは外せませんね。
「塔」のフリマで配られた「ねずみの歌」のアンソロジーも、この二匹が
かなり詠まれておりました。写真は、香港のディズニーランドでの
パレードから。次から次へとやってくる豪華な出し物に、もう夢中になって
見入り時を忘れました。

ディズニーランドって、なんてところでしょう。虚無的なまでの巨大な幻想、
ばかばかしいほどの華麗さ、見る人を無化するような、賢い人をも一時は
アホに、アホな人はさらにさらにアホにするような、虚ろな、かつ、
爆発的なエネルギー。もうどこにも行きたくない、このままここに、ずっと
ずっと、ミッキーたちと留まっていたい、と思わされる。でも、どんな宴にも
終りはあって・・・。

  パレードのミッキーマウス届かないものに僕らはいつも手を振る
               上澄眠(「ねずみの歌」から)
  
  ねぇねぇねぇ汚れちまった悲しみを根こそぎ落とすネズミーランド
               相原かろ『浜竹』

写真は大阪の海遊館で撮影したカピバラです。ずっと本物を見たい、
と思っていたので、数年前に大阪を訪ねてカメラに収められた時は
感激しました! ガラス越しなので、写りは良くないのですが。
意外に大きいのです。そしてとぼけた様子がとても愛らしい。

カピバラには個人的な思い出が一つ。もう四半世紀も前に、動物が
二百十数種類も登場する絵本を訳したことがあるのですが、この時、
「ジャングル」の頁に、一匹、大きな鼠状の生き物が登場。
原書ではWater cavy となってました。手元の辞書にはない言葉、
あれこれと調べると、「テンジクネズミ」としている資料があり、
納得できないままやむなく、これを採用したのです(インターネットは
まださほど普及しておらず、私は使っていなかった)。
二千年代に入ってから、カピバラとして紹介されている映像を
テレビで見て、あっ、これじゃないか! と・・・。今じゃ、カピバラを
知らない人って、いないですよね(翻訳の言葉は古びやすい)。
もう遅いけれど、訳をなおしたくてうずうず。
少なくとも、「ミズオオネズミ」にしておいたら良かった。

 南米産ミズオオネズミカピバラは日本の出湯に目を細めをり
                    岡部史

追記 記事をアップした後、「塔」のフリマで配られたという「ねずみの歌」
をネットプリントしに近くのコンビニへ出掛けてきました。するとその中に
二首のカピバラの歌を発見! 詠んでいそうな人の歌集を何冊か調べて、結局
見つからずに上記の拙作を載せたのでしたが。お二方の作品を以下に。

 あくまでもねずみではないと言いそうなカピバラ映る干支引継ぎに
                         菊井直子
 カピバラはネズミ目とぞ知りしときその四頭身おそろしく見ゆ
                         村上和子
                                                                                        

こんにちは、小川和恵です。
去る1月19日(日)に第4回京都文学フリマが開催され、塔短歌会も出店しました。
遅くなりましたが、簡単にそのご報告です。

塔は第1回から出店しており、4回目ともなると、すっかり恒例行事といった感じです。
朝10時からセッティング。
選者の方々に提供していただいた歌集、バックナンバー、会員の方から寄せられたフリーペーパー、各種グッズなど、長机1つ分にしては盛りだくさんの商品。
どうやって効率よく、かつ見栄えよく並べるか、皆で苦心惨憺。

で、結果、こうなりました。

狭いスペースにぎっしり並んで、なかなかいい感じではありませんか?

そして、今回の目玉商品はこちら。

年末年始にかけて、Twitter上で大変話題になった“あの歌”を、作者である吉川宏志主宰が自ら書いてくださった、貴重なサイン本です!
そして、目論見通り(?)、3冊あったこの本は、開始早々に完売してしまいました。

11時のスタートから、スタッフとしてお手伝いいただいた会員が交代で、フリーペーパーの配布や商品の売り込みなどを担当しました。
特に、フリーペーパー「ねずみの歌」アンソロジーは反応もよく、手に取っていただいた方皆さん興味津々といった感じでした。
(このフリーペーパー制作は沼尻つた子さんに大変お世話になりました。)
また、バックナンバーや選者の歌集などにも、関心を持った方が多数。
スタッフの側も、ついつい力を入れて勧めてしまったりしました(笑)
特に、最新号である「塔」1月号は早々に売り切れてしまい、(もう少したくさん用意しておくんだった)とちょっぴり後悔。

この文学フリマには、短歌だけではなく、俳句、詩、小説等のブースも数多く出店されていますから、当然、さまざまなジャンルに関心のある方がいらっしゃいます。
短歌にはあまり縁のなさそうな方の中にも、こちらに興味を持ってくださった方がいらっしゃったりして、ちょっと楽しかったです。

今回は、京都文学フリマ史上最高の人手だったそうで、会場内は大変熱気に溢れていました。
その雰囲気に、スタッフであった私たちも呑み込まれそうになってしまうほど。

そして、最終盤になって、なんと吉川主宰が自ら登場!

わざわざサイン本も1冊新たに持参してくださいました。
たまたま「ついこの間塔に入会したばかりです」という方も通りがかって、思わぬ主宰との遭遇に感激していらっしゃいました。

そんなこんなで、第4回京都文学フリマもあっという間に終了。
塔のブースもなかなか盛況で、さまざまな方に塔短歌会を知ってもらえるいい機会になったのではないかと思います。
来年以降も出店する予定ですので、またご協力、ご来店いただければうれしいです。

なお、今回配布したフリーペーパー「ねずみの歌」アンソロジーについては、沼尻つた子さんのご協力により、ネットプリントで出力してご覧いただくことができます。

 セブンイレブンの プリント予約番号: 69305806 
 ローソン・ファミマ・セイコーマートのユーザー番号:7FL7835C6N
  A4白黒・両面印刷(横とじ・短辺とじ)計6枚 120円
 いずれもプリント有効期限は2/3の 23:59

「文学フリマには行けなかったけど、読んでみたい」という方は、ぜひご活用ください。
塔のさまざまな歌人の「ねずみの歌」が入っていて(中には意外な人物も!)、かなり面白いです。

鼠年にちなみ、ネズミの仲間たちの話題を。
以前に米国に住んでいた時、ペルー出身の友人ができ、彼女が
里帰りの折同行させてもらい、リマの実家に泊めてもらった。
親族が住むという北部の街ガハマルカでは、名物の「クイ」料理を
振舞ってくれるという。まずは町はずれの市場で、生きたクイを品定めして
購入する。写真でご覧の通り、クイとは英語でguinea pig。日本語で
モルモットのことなのでした! え~~~~、これを食べるのか!!!
と怯んでも遅い。クイは皮をむかれて

唐揚げにされてしまった。料理しているのは友人の伯母さん。
ところで、日本語のモルモットは、実は英語でいうMarmotではなく、
このクイと同じGuinea pigのこと。日本に紹介されたとき誤用されたらしい。
それで英文中のMarmotをモルモットと和訳すると誤訳になる、という
ヤヤこしいことになっちまいました。

 モルモットを海猽と呼び天竺鼠と訳したる日本近代の暁紅(モルゲン・レーテ)
                      永田和宏『華氏』

2月12日(水)から3月15日まで、東大阪市民美術センターにおいて「須田剋太展」が開催されます。
http://higashiosaka-art.org/exhibition/

須田剋太と言えば、司馬遼太郎の『街道を行く』シリーズに同行して挿絵を描いたことで有名ですが、高安国世の友人でもありました。その縁で、「塔」は昭和29年の創刊から須田が亡くなる平成2年までの37年間、須田の絵が表紙を飾っています。

 

詳しく知りたい方は『塔事典』にも「須田剋太」の項目がありますので、お読みください。


12日に名古屋で行われた社団法人「塔」の定時社員総会に
出席した折、ついでに駅の近くに一泊、ノリタケミュージアムに
出掛けてきました。名古屋は私にとって、ずっと「陶器の街」、
いつか行ってみたい、と思っていたのです。
ミュージアムはなかなか素晴らしく、ついでに同じ敷地内にある
レストランで昼食も。お料理はすべてノリタケの食器で供されます。

七、八歳の頃、母が突然、ノリタケの組食器を
購入したことがありました。当時はそんなに余裕なかったはずなのに
そして我が家にはオーブンなんかなかったのに、オーブン用の耐熱皿や
ポットなども含む、かなりの量の食器がどっと届いて、驚いたことが。
日常的に使うので、次々に欠けていき、もうセットで持ち続けることに
情熱を失ったのでしょう。ティカップは、私が結婚するときに
「使いなさい」と渡してくれたくらい。
六つずつのセット、今も手元にありますが、
カップを一つ割ってしまっています。

組物の陶器いちまいづつ欠けて妻(め)となり十年こはいものなし
栗木京子『綺羅』

旧正月。春節。 いろいろ呼び方があるが旧暦1月1日。

今年は、伝染病のこともあって、いろいろ心配だが
気をつけながらも、
暦のめぐりを心にとめて、新しい年を迎えるのがよい。

旅の途上にあるみなさんも、すこやかに旅を続けられますように。

紹興酒乗せたる円卓まわされて旅の途中に春節祝う/西本照代『勾玉』

くちばしのさきに黒と赤の模様があるので、たぶんこれはウミネコ。

ウミネコといえば、(ユリカモメ以外のカモメもだいたいそうだが)海にいるものだが、最近は都会の、ビルの屋上のようなところでも繁殖しているらしい。
屋上緑化というのが、冷房効率を上げるためにも推奨されているけれど、それがあたかも海辺の断崖の上の草地のように見えるわけだ。
海まではそれほど遠くなく、大きな川などあればなおさら子育てには良い環境ということになる。

ウミネコ側はそれでいいのだが、そこに住んでる人にとってはたまったもんじゃない。
うるさいし、糞は落とされるし。

なかなかたいへんだ。

海猫の鳴くざわめきに目覚めたり冬は世界に覆いがかかる/藤田千鶴『白へ』

鴨川のユリカモメも風に乗って気持ちよさそうに飛ぶ。
とはいっても、人間からもらった餌を奪い合ったり、トンビに威嚇されたり、なかなか忙しい。

京都はまっすぐな道なので、橋を渡るより、だいぶ手前から橋のあたりが見えている。
ばらばらと、橋のあたりを飛ぶのは、あれはユリカモメ。

街筋の彼方に白くひらめくを近づけば川原に飛び交ふ鴎/高安国世『眞實』

京都の鴨川あたりにいるユリカモメは群れてることが多いが、港にいるカモメはそうでもない。
写真のこれはセグロカモメあたりか。


 
群れていないというのは、つまり、いつもそこにいるわけではないということでもあって、港に行けば必ずカモメに会えるというものでもない。
しばらく風に吹かれて立ってると、ときどきふわーっとやってくる。

もちろん、夜になったらどこかの塒で静かにしているのだろう。

とっぷりと暮れてしまいし南港の〈かもめ埠頭〉に鴎は見えず/山下洋『オリオンの横顔』

写真も大阪港の南港だが「かもめ埠頭」のある南港南ではなく、その北側の埋め立て地。

ページトップへ