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アーカイブ "2024年07月"

北辻一展です。
沼津から1駅行くと三島という町に着きます。
沼津は出先機関などが多い印象ですが、三島は三嶋大社の門前町であり、新幹線の駅、工場の町でもあります。二つの都市が隣り合うのに雰囲気がまったく異なり、どちらも特色のある繁華街を有しています。

私にとって三島出身といえば大岡信です。彼の詩が印象深いのはもちろんですが、折々のうた、私の万葉集など愛読書も多くあります。
そして、彼の父は歌人 大岡博でした。窪田空穂を師と仰ぎ、人間性豊かな歌を詠みました。また、社会詠・時事詠も独自の視点があり、子を詠んだ歌も興味深いです。

子が拓く一人の道を見守りて見ぬごとく来ぬ距離おきて我
大岡博『春の鷺』

教師であった彼は三人の子を愛し、特に、信にスパルタ式の教育をしたそうで、そのような環境が大詩人 大岡信を生んだのかもしれません。晩年の歌ですが、父として、そして教師としての態度がよく表れています。
大岡信は、父の亡き後、『大岡博全歌集』を編集・刊行し、十八歳の頃に出した私家集『白萩』を収めました。父の歌の全容を残したいとする息子の尊敬の念が感じられます。

大岡信生家近くに奈良橋という小さな橋があり、信は「三島町奈良橋回想」という詩を残しています。

観世流の謡(うたひ)をうなつてゐた父ちやんも、
暗いうちからお釜をしやかしやか炊(かし)いでくれた
母ちやんも、この水が 誇りだつた。

夢の中でも 伸びた藻草がゆらゆら揺れて、
坊やはやがて この奥の 水の都へ帰つて来るのさ、
ゆらゆらと頬笑んで 手招きしてゐた。
(一部抜粋)

奈良橋から川の藻草を見ながら、ありし日の親子の姿に思いを馳せました。

北辻一展です。
先日、沼津の町に隣接する香貫山に登ってきました。
香貫山は標高193mで、他にも徳倉山などの低山が連なり、「沼津アルプス」と呼ばれ、市民が少し気軽な登山を楽しんでいます。

沼津といえば、晩年まで居を構えた若山牧水が思い浮かびます。牧水も香貫山を楽しんでいたようです。
香貫山中腹の香陵台に牧水の歌碑があります。

香貫山いたゞきに来て吾子とあそびひさしくをれば富士はれにけり
若山牧水『くろ土』


眺めは良く、若山牧水記念館のある千本松原が分かります。残念ながら曇っていましたが、晴れていれば展望台から富士山も見られるはずです。

生誕百周年を迎えた玉城徹も沼津に住み、香貫山を愛していました。

ゆき向かふくもりの下にひとうねり伊豆の支脈の低山親し
玉城徹『枇杷の花』

沼津に来られた際は、若山牧水記念館、香貫山登山などをされてみてはどうでしょうか?

相原かろです。
今日は「東京歌会(第3日曜開催)」に参加しました。
(詳細は2ヶ月後の歌会記に載るので省略)
(来月8月は休会です)

相変わらずの暑さですが、会場が最寄り駅から徒歩3分なので
なんとか倒れずに辿りつけました。
いつも会場を予約・確保して下さっている方に感謝です。

祭り櫓

会場前の公園では、盆踊りやぐらの準備をしていました。
どうも来週お祭りがあるようです。

帰りの電車でも、とある駅で何祭りかわかりませんが祭り囃子の音が聞こえました。
行くことのない祭りを通過したあとは、しんみりとします。

約1か月前の2024年6月11日、アメリカの児童文学作家、
ルース・スタイルス・ガネットさんの訃報が伝えられました。
享年100歳とのこと。
とても驚きました。
驚きの一番大きな部分は、失礼ながら
「まだご存命だったんだ!」ということです。
何しろ私が従兄の本棚から『エルマーのぼうけん』を
もらって読んだのが小学生だった1970年代。昭和40年代です。
その時にも「これはかなり古いお話なのだな」と思いました。
挿し絵の冷蔵庫がとてもレトロなのでそう思ったのでしょう。
勝手に作者をとても昔の人と思っていました。

そして1990年代、就職してからですが、
『エルマーのぼうけん』がアニメ映画になり、
幼い姪っ子を連れて見に行きました。
原作に忠実ないい映画でした。
写真のパンフとキーホルダーはその時のものです。

子供時代に親しんだ児童文学には女性の書き手が多く、
古くは『若草物語』のオルコットから、『赤毛のアン』のモンゴメリ、
『長靴下のピッピ』のリンドグレーン、『ムギと王さま』のファージョン、
『ムーミン谷』のトーベ・ヤンソン(←これだけは大人になってから読んだ)
などの作品を楽しみました。
彼女たちはシリーズものを書くなど、結構多作です。

でもこのガネットさんは『エルマーのぼうけん』『エルマーとりゅう』
『エルマーと16ぴきのりゅう』の三作しか書かれなかったそう。
「お母さん」になるのが夢だったそうで、
7人の娘の母としての生活を大切に生きた、とのことです。

児童文学の作者からお母さんになり、さらに、お祖母さん、ひいお祖母さん、
として過ごされた100年間を想像しています。
ご冥福をお祈りします。

もうすぐ全国大会!
塔会員の皆様はもう申し込みはお済ですよね?
今年の塔全国大会2日目、一般公開プログラム
「現代短歌シンポジウムin京都2024」の
ゲストは超超超豪華!!

作家・町田康の講演
翻訳家ピーター・マクミランと吉川宏志の対談
映画監督是枝裕和と永田和宏の対談(敬称略)

これが2000円なんて、いいんでしょうか??

塔会員以外の方をお誘いするため、本日事務所開所日を利用して
有志の方々とDMを作成いたしました。
郵送には全国の会員の方から頂いた切手を使用させていただきました。

このチラシのデザインのカッコいいこと!!
塔の歌会にご参加の方、歌会で配布しますので
塔以外のお友達にお渡し、お誘い下さいませ。

今日は七夕ですね。みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
七夕は雨が多いような気がしていたのですが、
今年のわたしの七夕は晴れてとても暑いです。
暑いので、とりあえずおいしいもの食べて元気を出す。

最近食べた生しらす丼。
おいしいものの記憶で元気を出す。

今日はこれからオンラインで歌会です。
七夕なので、普段なかなか会えない人たちと歌会。楽しんできます。

遅れ来しあなたの隣りは空席の七夕歌会また雨となる   河野裕子『歩く』

 
雨がよかったわけでは決してないけれど。
それにしたってこんなに暑くなるとは思わなかったなあ、七夕。

うちの近所の猫のお話なんですけどね。
去年の夏、宿無しの猫がしばしばうちの玄関の前でくつろいでいて、わたしが家に入ろうとしてもなかなかどいてくれなくて。無理矢理玄関を開けようとすると、すごい顔して怒って。気の弱いわたしはとても困ったものでした。
うちの玄関がこの猫にとって、暑さをしのいだり、雨をよけたりするのにちょうどよいらしく、

昨日より十度も低い公園の昨日と同じ場所にいる猫   /  杉田菜穂「塔」2024年6月号

まさにこんな感じで、ちょいちょいやって来るのでした。
その後、面倒をみてくれるすてきな家族がみつかったらしく、うちの玄関の前で寝ることもなくなり、ほっとしたような、ちょっとつまらないような。

と思っていたら、今年も遭遇しました。うちの玄関ではないけれど。

相変わらず険しい表情。
でも、近寄っても怒らない。
去年よりきれい。毛もふさふさして。
へー、よかったなあ。
ものすごい不機嫌そうな顔してるけど、しあわせなんだよね?
よかったじゃん。
元気で暮らしなよ。
じゃあね!

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