竹山広さん(松村)
一昨日、竹山広さんが亡くなられた。90歳。
竹山さんは、もちろん長崎で被爆された歌人として有名であるが、その作品は何より人間を見る眼、物を見る眼の確かさが際立っていた。それは時に冷徹と呼ぶほかないような厳しさも含んでいたように私は感じる。
人に語ることならねども混葬の火中にひらきゆきしてのひら
火傷の背チンク油に塗りつぶされて山の夜明けを寒がりし兄
おそろしきことぞ思ほゆ原爆ののちなほわれに戦意ありにき
亡骸の子はその母に遇ひしかば白きパンツを穿かせられにき
降る雨に音なき夜ふけ起き出でてひとの名に濃き線を引きたり
ご冥福をお祈りいたします。
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