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まき殘す暦のおもてそのまゝに見えてさながら春は來にけり/徳川光圀『常山詠草』

誰あろう、水戸のご老公の歌である。

「まき殘す暦」とかいうと、筒状にまるめていたカレンダーに、まだその状態が残って裾がカールしているように読めるが、光圀の時代の「暦」は、壁掛けの暦ではなかったはず。折り本とか巻物とか。おそらく巻物。光圀は、渋川春海「貞享暦」の採用の後押しもしているという背景などもあわせて考えると、それなりに想像がふくらむ。
題は古今集以来の定番の「年中立春」。つまり「まき殘す暦」というのは、まだ(旧暦)12月の日付のところが残っているにもかかわらず、立春がやってきたということだ。

まだ先のことだが、今年の立春=2月4日は、旧暦12月17日。

カレンダーの巻きぐせ。私もそういうのをつくったことがあるが、いくつか。

カレンダー逆に丸めて巻き癖を取れば表紙の仔犬が笑う/畑中秀一『靴紐の蝶』
二月まだ巻き癖少し残りいるカレンダーに梅は曲りつつ立つ/三井修『薔薇図譜』
巻き癖のまだ残りいるカレンダー野分の風に波打ちており/吉川宏志『曳舟』

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