続・土屋文明とクレソンと松山(松村)
亭歴(正しくは「亭」も「歴」も草かんむり付き)とクレソンとの関係について、土屋文明自身が書いている文章がある。
伊予松山でテイレギといふものを、刺身のツマに使ふ。松山人は
伊予独特のもののやうに言ふが、日本国中、澄んだ泉の流れる沢
水なら、どこにでも自生するオホバタネツケバナだ。(…)テイレギ
には亭歴といふ漢字があてられる(…)
私はそこで、オホバタネツケバナと同じ条件の沢水に繁殖してゐ
る、欧州原産のウォータークレスに亭歴の字をあててゐたが、我儘
であつても間違いではないと信じてゐる。
(片山貞美編『歌あり人あり 土屋文明座談』より)
要するに松山ではオオバタネツケバナ(大葉種漬花)のことを亭歴と呼んでいるので、それに似ているウォータークレス(クレソン)のことも亭歴と呼んでもいいだろう、というわけである。誰かに亭歴とクレソンは別種だという指摘を受けたのかもしれない。「我儘であつても間違いではないと信じてゐる」という、やや言い訳めいた文章となっている。
「ていれぎ」は松山市の名物のようで、松山市の天然記念物にも指定されている。
秋風や高井のていれぎ三津の鯛 正岡子規
高井も三津も松山市内の地名。松山名物を詠み込んだ句である。
(さらにつづく)
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