平井貴美子歌集(松村)
会員の方から事務所に『平井貴美子歌集』をご寄贈いただいた。
平井さんは1954年の塔創刊時の会員で、その年の8月に結核で亡くなった方。4月の創刊号から9月号まで歌が載っている。
10月号には「平井貴美子さんを憶う」(高安国世)、「平井さんのこと」(太宰瑠維)という二つの追悼文があり、12月号には「平井貴美子歌集」(跋文 高安国世)の広告が掲載されている。それが、この歌集ということになる。
本文はガリ版刷りで、手書きの文字がならんでいる。
例えば、こんな歌。
身を清く生きしも今は惨めにて腕委ね行く夜の暗き道
息荒げ寄せ来し顔に眼閉づかかる行為が吾を救ふものか
体重計によろめき乗れば春めきし庭にきらめくガラスの破片
ふりしきる雨中庭にあふれをり向ひ病舎の灯を映しつつ
羨しまれ嫁ぎしことも病む今になべては辛き記憶あるのみ
平井さんは京都市右京区鳴滝にあった国立宇多野療養所(現・独立行政法人国立病院機構宇多野病院)で療養生活を送っていたらしい。じんわりと胸にしみる歌が多い。
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