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冬。そろそろ山間部や標高の高いところでは雪のシーズンでもある。

小さき閃光發せりと覺ゆ雪來る日濕度計の中の金の毛髪/葛原妙子『葡萄木立』

「閃光」は「と覺ゆ」なのでリアリズムではないが、寒さに引き締まった空気の感じなどを思ったらよいのだろう。空気中の水分が変わらないとき、気温が下がれば湿度が上がる。湿度が100%近くになれば結露したり霧が出たりする。
見ていてわかるほどではないはずだが、冷え込んできたと思うとき、ふと湿度計の針が動くということはあるかもしれない。アナログ式の指針とか、記録ペンとかはひっかかかりを越えてきゅうに動くということもある。
 
その毛髪湿度計。今でも使われている。


写真のものは、国立民族学博物館の展示。写真撮影OKのコーナーで展示物を撮らず、湿度計の写真を撮る。
束にした毛髪を上下に張って、その中ほどを横(奥)に引っ張るようになっていて、その張力から湿度を感じるようになっている。

しばしば目にするのは博物館や美術館。そして寺社の宝物殿。

温度計・湿度計に守られゐる宝 まことさびしき宝にむかふ/松川洋子『聖母月』
ほほゑみを返さむとすれば湿度計管理下の函に百済観音/桜川冴子『キットカットの声援』

とはいえ、最近はデジタル式の電気的な仕組みを使ったセンサーのものも多くなった。

同じく国立民族学博物館の写真撮影コーナーにて。

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