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夜の帰り道。ネズミモチが満開であることに気づく。夜目にもあざやか。

ネズミモチの花の匂いと言えばすぐ分かってくれるほどの気安さ/永田紅『いま二センチ』
散歩より歸りて曲がる生垣にわれに見よとぞ匂ふ鼠黐/早川幾忠『八十有八年』

 
香りも強いのだが、良い香りなのかどうかというと、なかなか微妙なところがある。キンモクセイであったり、ウメであったりすれば、だいたい誰でも知っているけれど、ネズミモチの花をそれと意識している人はそれほど多くないから、「ああ、ネズミモチの匂いね」とわかりあえるのは、それだけで親しく感じることだろう。
微妙な香というのは、悪臭というのとはまた違って「われに見よとぞ」……つまり、自己主張といえば、そういうものだ。

ところで写真のこのネズミモチはかなり大きい。巨木というほどではないが2階の軒を越えるぐらいの高さがある。おそらくこれはトウネズミモチ。

やうやくに夏のひかりのあまねくて唐鼠黐(たうねず)は花あをじろし見ゆ/林安一『刻文の魚』

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