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我家の夏柑の木に、今花が満開。窓を開けると
かぐわしい花の香りも漂ってきます。

  木に花咲き君わが妻とならむ日の四月なかなか遠くもあるかな
             前田夕暮『収穫』

短歌を始めたばかりの頃、この歌を知りました。当時の私はすでに
二十代後半、結婚後でしたから、恋の歌をリアルタイムで詠めない、
とすごく残念に思ったことでした。
それでもほかの作者の恋の歌を読むたびに胸が震え、
自分の当時の思いを胸に呼び戻せる、ということはなんて
素敵なんだろう、と思いました。それはもちろん、今でも!

 くちびるに触れるあたりをつと触れて盃ふたつ買う陶器市
              toron*『イマジナシオン』

恋については一言も触れていないのに、凄い「恋」感、にむ~、
と唸らされた作品です。

次に、恋の歌を詠むには出遅れちゃった、と思われている方々の、
きっと、これからの励みになるであろう作品を。

 うすずみのゆめの中なるさくら花あるいはうつつよりも匂ふを
 恋よりもあくがれふかくありにしと告ぐべき 吟(さまよ)へる風の一族
               斎藤史『ひたくれなゐ』

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