子育てをうたう(藤田)
「こどものとも 年少版」にはちいさな冊子「絵本のたのしみ」が付録としてついてくる。絵本の作者の言葉やおすすめ絵本、お便り、新刊案内などがコンパクトに収められている。そこに松村由利子さんが「子育てをうたう」というエッセイを書いておられて、子育ての短歌を紹介しながらの応援メッセージのようなお話が温かい。
8月号から。
・三匹の仔豚のように家出る日来ること知りて吾子は驚く 古谷 円
「『三匹の仔豚』はよく知られたお話で、昔話の典型である繰り返しの面白さが魅力です。でも、この子は物語が動き出す前の、「家出る」場面に驚いてしまったようです。「なんで、3びきはおうちを出るの?」という問いに、母である作者の胸はきゅんとなったようです」
ここを読んだとき、まだ私が子供を産む前、ご近所の幼稚園児を預かった日のことを思い出した。棚に飾ってあった、私の古い家族写真をみて「この子たちだれ?」ときくので、「私と妹だよ」というと、「妹はいっしょに暮らしていないの?」といわれてこちらがびっくりしてしまった。その子には小さい弟がいた。
幼稚園児にとっては姉妹が別々に暮らしているのが不思議だったのだろう。家族もそのほかのものも少しずつ形を変えてゆく。それをひとつひとつ知ってゆくのが歳を重ねるということなのかもしれない。
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