石榴と花石榴
ザクロの花が咲いている。
タコさんウインナー、タコさんウインナー。これは石榴の萼でありたり/小田桐夕『ドッグイヤー』
まことに、そんな印象でもある。花びらも、ちゃんと薄い朱色のひらひらがあるが、それが萎んだあとにのこっている萼の、基部が果実として太るまでの間は、もう「タコさんウインナー」にしか見えない。
こちらはハナザクロ。八重咲き。
風あらぶ六月の庭いつ逢へる君とも知らず咲く花柘榴/苅谷君代『初めての〈青〉』
ひとつひとつの花はあざやかだが、濃い緑のなかに咲いているのは、いくらか寂しげな感じもする。
ハナザクロが結実することは少ないらしいが、ザクロにしてもハナザクロにしても、果実がそこにあるのと花が咲いているのと、遠目にはそれほど違わない印象になるあたりも、花の寂しさにつながるかもしれない。
ちなみに、木扁をつけて「柘榴」で通用しているが、もともとの漢名は「石榴」。簡単なほうへ流れるというわけでもないのが面白い。
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