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「塔」4月号の新樹集を読んでいて、こんな歌を見つけた。
  水運ぶ途中と詠まれしエンゼルを見つけて黄の箱ひとつ購う
                    小川ちとせ
これは、河野裕子さんの次の歌を踏まえて作られたもの。
  黄の箱の森永ミルクキャラメルの白いエンゼル水運ぶ途中
                    河野裕子『家』
こういう偲び方というか、詠い方もあるのだなあと感心した。
森永ミルクキャラメルは1899年生まれのロングセラー。誰もがあの商標を思い浮かべられるからこそ、成り立つ歌だろう。
ちなみに、こちらは、別の会社のキャラメル。
  キャラメルの小箱に刷られ永遠に諸手をあげて走るランナー
                    喜多昭夫『夜店』

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  • まなか より:

    斎藤茂吉『連山』にこんなのがあって、ちょっと驚きました。
    車中にて賣に來る森永(もりなが)ミルクキヤラメル盛京公司(せいきやうこうし)味樂乳糖(みらくにゆうたう)

  • 松村正直 より:

    昭和5年に満洲へ行った時の歌ですね。まさか、こんなところで「森永ミルクキャラメル」に会うなんて、びっくりです。
    このあたりの歌は、鉄道の駅名や路線名が詠み込まれているものが多くて、当時の満鉄の路線図と見比べながら読むと面白いです。

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