鈴木大拙のことば
今日はキリスト教でいうクリスマス。
ですが、ここでは仏教哲学者の話をひとつ。
若松英輔さんの『霊性の哲学』を読んでいます。
「霊性」といっても心霊現象などの霊とは関係なく、
私なりに〈精神〉と〈感性〉の間くらいかなぁなどとおもっています。
この本のなかに、鈴木大拙という仏教哲学者が出て来ます。
そこで、この秋に金沢市の鈴木大拙館を訪れたことを思い出しました。
6年ほど前に開館したそうで、金沢といえども何度も訪れたくなる場所でした。
あまり詳しく紹介してしまうと訪れたときの感動が薄れてしまうかもしれません。
写真を2枚ほどのせておきます。
鈴木大拙が1962(昭和37)年1月1日読売新聞紙上に
「書簡の形式を借りて」と、当時のアメリカ・ケネディ大統領と
ソビエト・フルシチョフ首相宛に述べた一文をここに引用します。
いま、もっとも肝要な問題は、いわゆる現代の科学時代にあって、
われわれはどこに位置しているかということである。いまや、われ
われは物質的な力が多方面に発揮される核兵器の戦争の危機に直面
している。
これは愚の骨頂ではないか。われわれは現代の世界における人間の
尊厳を軽視しているのではないか。われわれの、現在にいたるいっ
さいの罪業に照らして、自滅するのが当然だという考えもあるかも
知れないが、われわれのなかにあるものは、いっしょくたにして捨
て去るべきものばかりではないとわれわれは信じている。われわれ
人間は、どん欲、憎しみ、無知などの弱点をもっているが、それに
しても、われわれの生命を軽々に捨てるべきではないと信じている。
われわれに道徳的、精神的になんらかの価値があるとすれば、全力
を傾けて生命の保存をはかるべきである。すべて人間の尊厳を発揮
するものに対して、われわれの努力が払われなくてはならない。
みなさん、新しい年を平穏に迎えられますように。
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