京大短歌(松村)
「京大短歌」16号を読む。15号が出たのが2005年2月というから、丸5年ぶりである。
レシートを対岸の陽に透かしては目を見てものを言いたくおもう
風のない史跡を歩む 寡黙なら寡黙のままでいいはずなのに
/大森静佳
紙のおもての文字の突起をなでながらいま流れゆく鴨川を思う
まっしろな栞を本にしずめつつああそうだよね、そうだねと言う
/藪内亮輔
二駅を歩いて帰る しずしずと愛されるために脂肪を燃やす
得たものはやがて失うものだから今夜サガンに手紙を書くよ
/川島信敬
音声がまず劣化する ふわふわと輝く舌は覚えているのに
帰ろうと君が言うのを待っている動物園にとめどなく雨
/東郷真波
自分の好きな歌を引いていくと、静かな歌が多くなってしまう。実験的な歌や賑やかな歌も載っているのだけど。
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