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 この曲を聴けばデュプレを想ひ出す四十二歳で斃れしことも
                 藤原 學(「塔」10月号より)

「塔」の10月号が届いてすぐ、ぱらぱらとめくっていたら、この歌が目にとまり、驚くと同時にちょっとうれしくなりました。
ジャクリーヌ・デュ・プレは、私の好きなチェロ奏者の一人です。

私は大学時代、大学のオーケストラに入っていたのですが、やっていたのがオーボエという木管楽器だったため、同じオーケストラの楽器でも、弦楽器には少々疎いところがありました。
それでも、ドヴォルザークのチェロ協奏曲は好きな曲でした(余談ですが、聴きに行った演奏会で、たまたまミッシャ・マイスキーがチェロ独奏のこの曲がプログラムにあって、いっぺんに惚れ込んでしまったのでした)。
それで、何がきっかけだったのかは忘れてしまったのですが、当時仲良くしてくれていたチェロの先輩に「何がお薦めですか?」と聞いたところ、「私のお薦めはジャクリーヌ・デュ・プレ!」と薦められ、すぐに買ったのがジャクリーヌ・デュ・プレがチェロ独奏のCD(収録曲はドヴォルザークのチェロ協奏曲と、ハイドンのチェロ協奏曲)だったのです。

早速聴いてみたところ、とても深みのある音色で、人の感情に直接訴えかけるようなその響きに、あっという間にファンになってしまいました。
ほどなくして、彼女の小品集(有名どころではサン=サーンスの「白鳥」などが収録されている)のCDも買ってしまいました。

藤原さんの作品にもありますが、ジャクリーヌ・デュ・プレは天才的なチェロ奏者であったにもかかわらず、多発性硬化症に罹り、1987年、僅か42歳で亡くなりました。
彼女の活躍した期間は、約10年しかなかったとのこと。

私が彼女の演奏に触れたのは、彼女の死後であり、それもCDの録音を通じてのみなので、本当に彼女の演奏の良さに触れているのか、と問われると、あまり自信がありません。
でも、これらのCDは何度聞いても飽きることはなく、それどころか、そのときそのときに応じてさまざまな感情に触れられる、さまざまな感情を起こさせる、ある意味「本物」の演奏なのだと思います。
CDというかたちでも、彼女の演奏が遺されて、それを今でも聴けることはなんと有り難いことなのでしょう。

ちなみに、小品集の方は寝る前に聴くことがよくあります。
とても落ち着いた穏やかな気分になれるのです。

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