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カテゴリー "梶原さい子"

 今からが夏の本番なのでしょうが、山の方に行けば、もうとんぼがたくさん飛んでいます。

 小さいころ、とんぼの目に向かって指をぐるぐる回して、目が回るようにして、そうしてつかまえたときもありましたけど、あの方法…有効だったんでしょうか?
 遊びの中で、いろんなことを教わりました。確かな方法も、そうでないものも。
 とんぼ…もうしばし、とんぼの季節になる前に、蝉の季節を味わいたいと思います。

  殺してもしづかに堪ふる石たちの中へ中へと赤蜻蛉(あかあきつ) ゆけ
                         水原紫苑『びあんか』

暑い日が続いていますが、そんな中、東京オリンピックが始まっています。

 

いろいろな意見があったオリンピックですが、選手の皆さんがそのからだでもって見せるパフォーマンス、すごいものだなあと感じます。

短歌にもスポーツのいい歌がたくさんあります。印象深い歌を3首。

 ハードルをつぎつぎ越ゆる若き脚(あし)のむかうに暗き夏のくさむら

                          柏崎驍二『四月の鷲』

 火の息を鎮めて膝をわずか曲げ神事のごとしフリースローは

                          三井修『アステカの王』

〈ドイツ人対ポーランド人〉と言ひ換へてみればおそろしサッカーなれど

                          大松達知『アスタリスク』

 

 

 

 

 2月半ばのことになりますが、植田今日子さんがご病気で亡くなりました。ああ、いつの間にか2か月経ったと思っていたところです。今日子さんは、上智大学の社会学の教授で、12月号に、私の歌集『ナラティブ』の書評を書いていただいたばかりでした。

 知り合ったのは、東日本大震災後。今日子さんは仙台の大学にいて、津波に遭って、住民がばらばらになってしまったわがふるさと、気仙沼市唐桑町に、社会学・民俗学の調査でいらしてました。その時のことをまとめた本が『更地の向こう側 解散する集落「宿(しゅく)」の記憶地図』(かもがわ出版)なのですが、ほんとうにいい本で(どうでしょうか……今、手に入りますか……)、ひとの語りの豊かさというものを教えていただきました。

 

 その後、私は『リアス/椿』という、震災前・震災後を詠った歌集を出したのですが、その歌集を読む会に来ていただいて、第1部として、講演いただきました。懇親会では、皆さんと飲んで。たくさんしゃべって、たくさん笑って。面白かったし、ありがたかったと思います。

 今日子さんはまだ40代で、これから、もっともっといろんなことを話したかったし、教えていただきたかった……。でも、最後の日々も、本当に前向きでした。前向きな姿を見せてくださいました。

     夢よりもはかなき世の中を、歎きわびつつ明かし暮らすほどに、
    はかなくて四月十余日になりぬれば、木の下暗がりもてゆく。
                          『和泉式部日記』

 ああ、季節がめぐります。春から、夏に向っていきます。

 冬道麻子さんの第5歌集、『梅花藻』が出ました。

 難病である筋ジストロフィーによって臥せったままの生活をされながら、詠い続けてこられた月日を思います。

  吸気より呼気なす方が体力を使うとおもうかすかに違う

  片手にて持てぬ重たさ今月も「塔」の厚さの一センチ程

  しら梅を一枝手折りきし母は庭より上がる「よいしょ」とわが声

 「しら梅」の歌、好きです。この時、冬道さんとお母さんは一体化しています。冬道さんの大好きな、ずっと身の回りのお世話をしてくださっているお母さんを、冬道さんの声が、意識が支えます。そして、一緒に庭より上がるのです。

 また、お父さんへの思い、老いの問題など、長く立ち止まりながら読みました。生々しいところも詠ってあるのに、清潔で透明感があります。それは、第一歌集『遠きはばたき』から変わることなく、です。

 

 お知らせ申し上げます。
 『3653日目』〈塔短歌会・東北〉震災詠の記録 の申込み再受付を開始します。前売りの受付に際しましては、たいへんありがとうございました。
 さて、『3653日目』は、塔短歌会・東北で毎年刊行してきた冊子を書籍化したものです。
 東日本大震災のあった2011年より、『99日目』、『366日目』、『733日目』、
『1099日目』、『1466日目』、『1833日目』、『2199日目』、『2566日目』、『2933日目』と、日数をタイトルに据えた冊子を刊行してきましたが、それらを一冊にまとめました。
 24名による短歌作品、小エッセイ、座談会、鼎談、特集エッセイなどの収録の他、
高野ムツオ氏の解説を加え、総ページは476頁です。
 東日本大震災より10年目の今年、こうして本にまとめることができることには、一同ひとしおの思いがあります。その地点その地点であの震災に向き合ってきたことが一冊になったとき、改めてひとつの軌跡が浮かび上がってくるようにも思われ、短歌という詩形の持つ力や可能性というものを考えさせられています。
 この本が少しでも多くの読者の皆様に届くことを心より願っております。
 下記の申込フォームにて、販売の受付をさせていただきます。

申込フォーム
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdgPZlTX2nWN3d50-P-wBVzID6z2wwGoIcK1_PQ-0pEYO_9tQ/viewform?usp=sf_link

お問い合わせメール tou-touhoku@orion.ocn.ne.jp

※この本の収益は東日本大震災被災関連団体に寄付されます。
どうぞよろしくお願いします。
〈塔短歌会・東北〉一同

 お知らせです。このたび、塔短歌会・東北で毎年刊行してきた冊子を書籍化する運びとなりました。
 冊子は、東日本大震災のあった2011年より『99日目』、『366日目』、『733日目』、
『1099日目』、『1466日目』、『1833日目』、『2199日目』、『2566日目』、『2933日目』と、
日数をタイトルに据えて刊行してきたものです。
 24名による短歌作品、小エッセイ、座談会、鼎談、特集エッセイなどの収録の他、
高野ムツオ氏の解説を加え、総ページは400頁を越える予定です。
 東日本大震災より10年目の今年、こうして本にまとめることができることは
一同ひとしおの思いがあります。その地点その地点であの震災に向き合ってきたことが
一冊になったとき、改めてひとつの軌跡が浮かび上がってくるようにも思われ、
短歌という詩形の持つ力や可能性というものを考えさせられています。
 この本が少しでも多くの読者に届くことを心より願っています。
   下記の申込フォームにて、先行予約販売を行います。
申込フォーム
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdL_-6_YAXsEsLS9gZLoCgVGUqWK3pUMCtUGqQhapBZEx-rFg/viewform?usp=sf_link

申込締切 2021年2月28日(日)
お問い合わせメール tou-touhoku@orion.ocn.ne.jp

※この本の収益は東日本大震災被災関連団体に寄付されます。
どうぞよろしくお願いします。
〈塔短歌会・東北〉一同


 いやー寒いです。
 今日などは少しゆるんだのですが、間もなくまた寒波が来るということで、怖れているところです。朝のつるつるにまいってしまって、凍結恐怖症気味です。

 

 こちらはつらら。
 きれいでは、あるのですが。

   さびしさを軒のつららにたぐえし日さびしさを鋭きものとは思わざりしが
                           大島史洋『炎樹』

 
 
 

 本日、冬至です。〈陰きわまりて、陽に転ず〉の日、ですね。
 かぼちゃや小豆を食べたり、柚子湯に入ったりと、いかにもパワーのありそうなものたちに託された思いを感じます。
 ということで、かぼちゃと小豆は昨日のうちに炊いてたのですが、柚子は全部使ってしまっていました。というか、無農薬の、すばらしいいただきものを、お湯にいれるのはとてももったいなくて……。
 はちみつ漬けとゆず酒へとあいなりました。

  鳥栖まぬ巣箱の夜明け鳥栖まぬ巣箱の日ぐれ冬至のひと日  柏崎驍二『月白』

  柚子の実がさんらんと地を打って落つただそれだけのことなのよ 
                              山崎方代『方代』

 山歩きなどもするのですが、歩いていると、びっくりするほど、いろいろなところに歌碑や句碑があるなあと思います。草むらの中とか、崩れた建物の裏手とか。いままではそれほど興味がなかったのですが、この頃、面白く思えてきました。

 こちらは花巻温泉の与謝野夫妻の歌碑。

 こちらは少し前に伺った沼津の牧水の歌碑。幾山河の歌ですね。千本浜公園の中にあります。

  わがために一基の碑をも建つるなかれ 歌は集中にあり人は地上にあり
                             土岐善麿『寿塔』

 こういう考えもありますが…。
 でも、その場所に言葉が刻まれて立っているということに意味があるような気もしますし、そういうことをする人間というものを面白く思います。

 

  間もなく9月ですが、まだまだお暑うございます。
 油照りのなか、果物が実っています。
 こちらは桃。

 このようにも変身します。

 冷たいものをずいぶん食べた夏でもありました。

  桃二つ寄りて泉に打たるるをかすかに夜の闇に見ている  高安国世『街上』
 
  廃村を告げる活字に桃の皮ふれればにじみゆくばかり 来て 
                      東直子『春原さんのリコーダー』

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