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ビールはどちらかといえば苦手な飲み物だった。
けれど、昨年の夏、2012年のWorld Beer Cupで世界一に輝いた「ゆずホ和イト」という箕面のクラフトビールをたまたま飲んだおかげで、今やビールに夢中だ。
生きているとどんな楽しいことが起こるかわからない。
詩人・季村敏夫のエッセイ集『災厄と身体』を読んだ。
季村氏は、山中智恵子にも以下のように詠われた人物。
     季村敏夫に 一首
  〈真如如月(きさらぎ)傷みに非ずや〉若ひとの熄みなむとして遠きその声
                                  『虚空日月』
彼は神戸の震災を経験した。そして東日本大震災。
「偶然、行きて在る者として」何をおもうべきなのかを問い続ける。
静かで重い一冊だった。
そのなかに中原中也の詩が引用されている。
 
 「渓流」  中原中也
 渓流(たにがは)で冷やされたビールは、
 惱佞里笋Δ鉾瓩靴つた。
 峰を仰いで僕は、
 泣き入るやうに飲んだ。
 ビシヨビシヨに濡れて、とれさうになつてゐるレッテルも、
 惱佞里笋Δ鉾瓩靴つた。
 しかしみんなは、「實にいい」とばかり云つた。
そして私は「とれさうになつてゐるレッテル」をおもいながら
今日も箕面ビールを飲む。

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  • 植村弘 より:

    時々この欄を覗いてゐるものです。ちょとお邪魔します。
    麦酒の話を読んで何かコメントをしたい衝動に駆られま
    した。
    江戸様その節は有難うございました(覚えていらっしゃら
    ないと思いますが…)。麦酒は美味いですね。
    老人の一言
    麦酒飲み鰯味噌煮を食ひ居れば紀ノ川岸に春は浅しも
    あゝ我は酔(ゑ)ひゐる人か鳥の来て春の欅に餌食みゐるを見る
    嗚呼たしかに周りの人の皆若く見ゆればわたしは麦酒を飲みゐる
    大鴉Nevermore Nevermoreと揶揄しゐる何悲しくて独り酒飲む
    物語を語るを忘れ「刻刻と死にゆくわれら」などと嘯き飲む

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