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十数年前、奄美大島を訪れた折、黒糖焼酎の製造工場も見学。
そこで見つけた、ある商品のラベルに目を引き付けられました。
古いお札が利用されていたから。これは沖縄、奄美群島が米軍
占領下におかれていた1945-1958年9月まで唯一の通貨だった
米軍発行による軍票で、俗にB円と呼ばれていたお札でした。
軍票といえば、松本清張の小説で有名になった「西郷札」が
思い出されるところですが・・・。

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焼酎の名前、「加那」は、この地に一時潜居を命じられていた
西郷隆盛の愛人の「愛かな」の名からつけられているらしいのです。
(「かな」は方言で、「愛しい人」という普通名詞でもあるそうな)
二人の間に生まれた子は後の京都市長・西郷菊次郎。

この焼酎は、ほとんど東京の高級バーに卸されていて、一般には
出回らないそうです。小さい一本だけ譲ってもらって、ホテルで
ちびちびと味わいました。奄美の黒糖焼酎には、ちょっとここでは
書き切れない位、複雑な歴史があって・・。でも焼酎は、いかにも
黒糖から作られているらしい、深い甘味と爽やかな口当たりでした。

 うまさけはうましともなく飲むうちに酔ひての後も口にさやけき
                  坂口謹一郎『発酵』

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