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大阪の仕事場の近くにある「住友銅吹所跡」。
今は、三井住友銀行の事務センターか何かになっている敷地の隅の公開緑地的なところ。

別子その他で採掘された銅鉱が、粗銅の状態でここまで運ばれて純度の高い銅に精錬されていたということらしい。その過程で、微量に含まれる銀も取り出して製品になる。

江戸時代とはいえ、大都市の市中であるから、排煙の害なども軽微ではなかっただろう……と、近代になってからの大阪の煙霧(高安国世もそれで苦しんだ)との関連も思う。

住友の基礎は銅。

そして歌の世界では、住友関係といえば川田順や鈴江幸太郎。

鈴江幸太郎の歌集『白夜』(1949年)から「轉務」4首中2首。

・わが工場にけふも働く女學生のならぶうしろを事務室に入る

・あかあかと熔けたる銅のながれ落つ見つつ居りけり晝餉終ふれば

鈴江は、銀行系だったはずだが、戦時下の昭和18年には軍需で繁忙をきわめる住友電氣工業に転籍する。ほかに各地の鉱山を訪れる歌なども何首かある。
これは『夜の岬』(1969年)から。

・業(げふ)の末につながれば今日は入坑(にふかう)す元禄三年このかたの礦山(やま)

 

 

sumitomo

 

 

 

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  • 清水良郎 より:

    住友銅吹所跡は長堀。住友の本拠は中之島の住生ビルのあたり。隣が商いのライバル「淀屋」だった。(今のミズノのあたり)。淀屋橋は淀屋に来るお客様のため私財で作った橋。淀屋は幕府の意向で財産没収となり途絶えたが、見事、復活。全財産を朝廷に寄進して討幕の影の力となった。歴史の綾。

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