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茱萸叢書(ぐみそうしょ)について、永田さんが書いた文章が見つかりました。
三枝昂之・田島邦彦編『処女歌集の風景』(1987)の中で、『メビウスの地平』刊行の頃のことを次のように書いてます。
 ある日、全く見も知らない男から手紙が舞い込んだ。青山敏夫といった。私の歌集を出したいということであった。
 初めて会ったのは、新宿だっただろうか。彼は大手の出版社に勤務しており、歌は作らないが、読むのは大好きだという。何と奇特な人もいるものだと新鮮に驚いたのだが、事実、私などよりよくいろんな歌を知っているように思えた。生半可なディレッタントに顔つき合わすような気恥しさは、少しも感じられなかった。
 読んでいるだけでは飽き足らなくなり、本業とは別にアングラ出版をしたくなったのだという。同年代だということも加わり、大いに意気投合したのだった。同じ頃、角川の『新鋭歌人叢書』に加わるよう誘いを受けたのだったが、初めての本くらいは、小さなところから手作りでという気持ちが強く、彼にまかせることにした。
 『天唇』(村木道彦)が出、私のが出、『晩秋挽歌』(福島泰樹)が出て、ほどなくつぶれてしまった。あちこちに迷惑をかけたまま消えてしまった、不思議な男であった。

この文章が書かれてから既に四半世紀。
今頃、どうされているのでしょうね。

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  • 荻原伸 より:

    おお!こんな文章があったのですね。
    前の「茱萸叢書」のコメントの「メビウス」マップを再掲しますね。
    101藤田さん、127松村さん、129鈴木竹志さん、159荒井さん、164荻原、484塔事務所。ナンバーなしが前田・吉川さんと柴田さん。
    松村さんとぼくとふたりで永田さんに確認したところでは、確かに500冊出したとのことでしたよね。みなさんの「メビウス」おしえてください♪(継続中)

  • まえだ より:

    こういう不思議なひとはいまはあまりおられませんね。…

  • まえだ より:

    うちにあるものは吉川が直接、永田さんからいただいたもので、ナンバーがないそうなんです。

  • 松村正直 より:

    今日、永田家の本棚にある2冊の『メビウスの地平』をチェックしましたが、どちらにもナンバーは入ってませんでした。

  • 荻原伸 より:

    なるほど。
    やはり、ナンバーが入っているのは永田さんの近くにはないのですね。「メビウス」マップほど遠し。うーん。

  • 岡部史 より:

    私の『メビウス・・』は、ある歌人の方に「歌集を購入させてください」と連絡したところ、喜んで応じてくださった上「他に誰かの歌集を探していますか」と尋ねられてくれました。「永田さんの第一歌集」と答えると、「偶然だけど、自分のところに二冊あるので」と分けてくださったもの。ナンバーはありません。

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