ブログ

『不思議の国のアリス』や『大草原の小さな家』その他英米の児童書に
頻繁に登場するtreacle、またはmolassesは、精糖の過程で生まれる廃糖蜜。
ビート糖の普及する以前は、欧米では貴重な甘味料でした。
どんな味なのか興味が湧き、製菓材料店で探してようやく見つけました。
クセが強く、日本人には馴染にくいかも。見た目は、タールにそっくり。

西インド諸島で製糖が盛んだった時期、北米では精製糖と共に糖蜜も
盛んに輸入していました。甘味料として、それ以上にラム酒の材料として。
ボストンの港近くには巨大な糖蜜の貯蔵槽が備えられていたそうな。
ボストンといえば、名物料理のボストンベークドビーンズにも糖蜜が
使われるということですが・・・。

1919年1月15日正午過ぎ、真冬には珍しい温暖な気候が災いしたのでしょう、
大音響とともに貯蔵槽が崩壊し、870万リットルもの糖蜜が泥流となって
街路を襲ったのだそうです。今もBoston Molasses Disaster として
語り継がれる、悲惨な事故になりました。泥流の速さは時速56キロとされ、
死者21名、負傷者150名、そして多くの犬や馬も命を奪われました。
糖蜜の匂いはその後数十年も、街頭に留まり続けた・・・とか。

ボストンには行ったことがないので、私はただ想像するだけなのですが。

  発想に煮詰まる時はいつも来るチャールズ川にヨットが浮かぶ
              近藤真啓「塔2018年7月号」

コメントを残す

ページトップへ