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年の暮に仕事なくなりて来て遊ぶ水族館にとおる児の声/田中栄『水明』

「仕事なくなりて」もいろいろだが、〈失業〉という意味だとどうだろう。
最近は各種の施設の入場料もそれなりのお値段になって、ただの暇つぶしに入るには、ちょっとつらい感じでもあるか。
 
ところで、それはつまり水族館の運営にもお金がかかるということで、水槽の水質維持のために酸素を入れたり、フィルターを通して汚れをとったり、そのためにポンプを動かさなければならない。ヒーターや冷却器で温度を調節したりもする。光熱費がどうなるか、この冬の家庭のそれを見ると、水族館も心配になる。
大災害が起これば、水槽の破損がなくても停電のために多くの魚を死なせてしまったりもする。

そういうことがいろいろあるわけだが、水質維持の話に戻すと、これはなかなか人工的な海水だけでは魚の健康を保つことができず、定期的に海水を運んでくる必要があるらしい。

これは大阪・天保山にある「海遊館」の前。湾内クルーズの船つき場があるが、その横に、小型の貨物船ふうの船が停泊していることがある。煙突には海遊館のマークがついている。
この船が沖のほうで新鮮な海水を汲んでくる。

もっと自然の豊かなところなら、すぐそこの海水を汲んだらよいのだろうけれど、なにぶんここは大阪湾。少し遠くまで行って海水を汲んでくることになる。

こちらは東京・池袋。サンシャインシティの裏手に、しばしばこの大型のトラックが停車している。鮮魚輸送車に似ているが、かなり大きい。
どうやらこれも伊豆方面から水族館のために海水を運んでくるものらしい。

水族館も、その舞台裏には、いろいろな仕事がある。
そういうことを想像してみるのも面白い。

別の日。海遊館の「第八先山」が戻ってくるところ。

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