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塚本邦雄の『国語精粋記』の冒頭に京都の地名の美しさを述べたところがある(原文は旧字)。
  その昔、私の義兄は深草の聯隊の近くに居を構へて居た。数年
  で移転したので、訪れたのは、少年時代の二、三度に過ぎず、
  別に特筆すべき住家でもなかつた。(…)それはともかく、私は
  この住所を封筒にしたためる時、子供ながらも、ほとんど法悦
  に近い歓びを覚えたものだ。
    京都市伏見区深草極楽町四十九番地
  (…)こんな美しい地名の処に、いつか一度棲み、封筒の差出
  人の住所として、流麗な手跡で書けるなら、どんなに幸福なこ
  とかと夢みたものだ。
といった回想から始まり、京都の歴史ある地名が次々と挙げられていく。わが家のすぐ近くだ。
  (…)また桃山の北部から深草の東部、国鉄奈良線沿線にかけ
  ての「大亀谷」一円には、大亀谷金森出雲町、大亀谷内膳町、
  大亀谷六躰町、大亀谷敦賀町、大亀谷古御香町、大亀谷万帖
  敷町、大亀谷五郎太町が来歴を仄めかす。
以下、さらに京都の地名の話が続くのだが、わが「大亀谷大山町」はついに出てこないのであった・・・。無念。
やっぱり「大山」ではダメだよなぁ。

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