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ヤブカラシが小さな花をつける季節になった。
自分の庭にヤブカラシが茂ってくるなら抜き捨てるほかはないが、この小さな花の上を虻や蜂が行き来したりするのを見るのは楽しい。

齋藤茂吉の『小園』の「疎開漫吟」に

やぶからしの玉もやうやく色づきてその紫も愛づべからずや

というのがあって、どんな実なのだろうと調べてみれば、なるほど見たことのある紫の実なのだった。

目立たない花と目立たない実は、なかなか頭の中で結びつかないものだ。

通勤経路の何か所かにヤブカラシの茂る植え込みがあって、今年はその実が色づくところまで気をつけていようと思っていたところ、今朝見たら植え込みの剪定があって、ヤブカラシの花も見えなくなっていた。
しつこい草なので、また植え込みの中から顔を出すかもしれないが。

清水房雄『獨孤意尚吟』にはこんな作品がある。

藪枯らし茂りて枯るる趣を愛しゐたる間に家人ぬきて棄つ

仕方のないことではあるが、しばし呆然とする。

やぶ2

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