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グランマ・モーゼス(モーゼスおばあちゃん)との愛称で
知られる画家アンナ・モーゼスについて初めて知ったのは、
1980年代半ば、滞米中に通っていた図書館の画集を見たとき。
当時、日本ではあまり知られていなかったでしょう。
美しい色彩、そして素朴なアメリカの暮らしそのままが
丁寧に描き出されていて、心惹かれたのでした。

あれからずっと、まとまった作品を見ることなく、気には
かかっていたのですが、ようやく日本でみることができました。
二カ月余り前、東京世田谷美術館で。

彼女は、七十代半ばから本格的に絵を描き始めるまで、普通の
農家の婦人だったのです。関節炎が悪化して好きな刺繍が
できなくなり、やむを得ず絵に転向。やがてNYのコレクターに
見出されるのですが、その時はすでに78歳になっていたそうな。

そして百歳まで現役で絵を描きつづけるのですから、高齢者活躍時代を
先取りするような人生だったのですね!でも、ほとんどが記憶を頼りに
描いた絵だそうなので、とびっきり記憶力の良い方だったのでしょう。
砂糖楓の樹液から砂糖を作る作業を描いた絵もあり、バーモント州で
の楓糖が有名ですが、彼女が暮らしたNY州でも行われていたのだ、と
この絵から知りました。

  搬ぶ人、煮詰める人ゐてうごきだす「砂糖作り」(シュガリング・オフ)
  の絵の冬景色      遠藤たか子「短歌研究四月号より」

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