ブログ

最近はまっているお菓子、ポルボロンです。
スペインのアンダルシア地方の伝統菓子だそうで、小麦粉を
色づくほどに焼いてから用いることでグルテンがなくなり、
砕けやすさ、もろさ、といった食感が楽しめるのだとか。
お皿にころころと転がるほどの丸い小ぶりの形とか、
口にした時にほろほろと柔らかく崩れる様子とか、まさに
ポルボロン、擬音がそのまま名前になっているような愛らしさ。

でも吉田菊次郎『万国お菓子物語』によると複数形があるのです、
って、スペイン語なんだから当然なのだが、複数形はポルボロネス。
たちまちギリシャの哲人が出現したような気持ちになったのは私だけ?

ちなみに私が一番よく購入するこの写真のものは、「ポルボローネ」
と表記されていて、私は最初、あれ、スペイン語の複数形をフランス風に
読んじゃったからかな(仏語では最後の子音を発音しない)と思ったの
でしたが、単にスペイン語の読み違えのまま伝わったからだそうです。
ポルボロンよりもやや改まった、上品な感じがしますよね。

こんな小さなお菓子も、単複、わかれているんだなあ、となにやら
感慨深い気持ちになったりもして・・・。
スペインでは、たとえば小さな子供と
「ポルボロン、あげるよ」
「いやだ、ポルボロネスにして!」
「今日はダメ。ポルボロンで我慢しなさい」
なんて、会話も成立するのか。
日本語の単複のおおざっぱさが、ここではありがたい気もしたり。

  日本語に単数複数あいまいなことゆかしくて雨のあぢさゐ
                   栗木京子『しらまゆみ』

コメントを残す

ページトップへ