飴をめぐる問題(松村)
「塔」をつらつら読んでいると、本筋と関係のないところでニヤリとしてしまうことがよくある。11月号の池本さんの歌にこういう一首があった。
わがへんな癖かも飴玉なめるとき小さくなれば噛み砕くなり
別に「へんな癖」ではなくて、僕もどちらかと言うと最後まで舐めきることができずに、噛んでしまう方である。噛んでしまって、歯に飴がこびりついて後悔する。
この歌にニヤリとしてしまったのは、10月号の十代二十代歌人特集で、千種創一さんが次のような文章を書いていたのを思い出したからだ。
マイルールを順不同で挙げます。1待ち合わせ、締切、時間は
守る。2食事は白米から食べる。(…)5飴は噛み砕かない。(…)
飴を「噛み砕かない」ことをマイルールにしている二十代の男性と、噛み砕いてしまう「へんな癖」がある六十代の男性。その取り合わせに思わずニヤリとしてしまったのであった。
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