顔と名前
こんにちは。
荻原伸です。
4月もいよいよ晦日。顔と名前をたくさんおぼえないといけない仕事をしているぼくにとって、春は、ちょっと大変な時期でもあります。ぼくはこの作業がとても苦手で、つまりは、記憶力に自信がないのです。
「世界史の資料集のあのページに載ってたなぁっておもって頭のなかで資料集を開いてさーっとめくると、そのページが見えてきて、さらにその画像の解像度がアップして知りたいところが拡大されてはっきり写真のようにでてくる」だから資料集や教科書をぱらぱらぁーっと眺めておけば暗記の問題には強いのだと言っていた友達がいました。脳によっては、そんな機能があったのか!とうらやましくおもったのですが、ぼくにはそういう機能は備わっていません。残念ながら。15年位前になるでしょうかドラマ「スーツ」をみながら、主人公マイクもきっとあの友達と同じ脳なのだろうなと思ったのでした。
教科書にでてくるものでくっきりはっきり覚えているもののなかに、アフリカツメガエル、キイロショウジョウバエ、ムラサキツユクサ、があります。この3つは、生物の教科書や問題集に、何かと出てきた記憶があります。それが実際どんな生態なのか、どんな大きさなのか、色なのかなどは知らないままに。文字というか音というか名前だけが記憶に残り続けていました。
それが、たまたまあるとき、「わーこれきれいな紫ですね」とそこにわんさと育っている植物を見ながらしゃべっていると、「これムラサキツユクサだよ」と教えてくる方がいました。なんと!これがあの、名前だけが記憶に残っていた、ムラサキツユクサでしたか!あなただったのね。(ソシュールも同時に出てきました!笑)
4月になって、顔と名前をおぼえなければとおもうとき、ムラサキツユクサのことがおもわれます。
河合 読者の側に立ってみても、いますぐ答えが出るというものはないですから、みんながいろんなことをひとつの体験として持って、もうひとつ先の答えをそこから自分で出していくということをしなくてはならんと思います。そう思って生きていかなくてはならないんじゃないかと。(村上春樹『約束された場所で』文春文庫版2001,pp277-278)


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