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初めて塩野七生の作品を読んだのは中学生の頃だったと思います。
『ルネッサンスの女たち』『愛の年代記』『神の代理人』などを
夢中で読みました。
その後、高校、大学時代を通じて彼女の著作をわくわくして読んだものです。
『チェーザレ・ボルジア、あるいは優雅なる冷酷』
『わが友マキアヴェッリ』はずいぶん話題になりました。

就職してからはすっかり読書にかける時間が減ってしまい、
『海の都の物語』を読み通すのが大変だった記憶があります。
でも、これを読んでから訪れたヴェネツィアは最高でした。
その後も『コンスタンティノープルの陥落』
『ロードス島攻防記』『レパントの海戦』などを読みました。

大著『ローマ人の物語』が年1冊刊行されるようになると
しばらく追っかけていましたが、多忙になって、追っかけは中断。
このまま塩野七生を読了できないのかなと、ずっと漠然と思っていましたが、
数年前に決心して読書を再開。
1年に1~2冊ぐらいのペースでしたが『ローマ人の物語』を読了。
その後『ローマ亡き後の地中海世界』
『十字軍物語』と何とか時間を見つけて読み、
今年になって『皇帝フリードリッヒ二世の生涯』と
最後の大作『ギリシア人の物語』をついに読了。
今、七生ロスに浸っています。

エッセイなどいくつか読んでないものはあると思いますが、
著作のほぼ大半は何とか読んだのではないか、と。
「史書」でもなく「歴史小説」でもない。
史料をあげながら感想を述べていく、曰く「歴史エッセイ」。
塩野七生が拓いた分野ではないでしょうか。

狂信的で偏った正義を何より嫌い、
合理的でバランスの取れた知性の持ち主をとりわけ好んで描いた塩野。
一番のお気に入りはユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)でしょう。
そして最後に描いたのがアレキサンドロス(アレキサンダー)大王。
永遠の青春を生きた若き大王の生涯を描き切って筆を置いたその偉業。

同時代に生れて塩野の著作を読めた幸福をかみしめています。

タキトゥスは記せり 蛮族ゲルマンはただ自分みづからだけに似る
                               香川ヒサ

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