狸、立ち止まる
暗くてよくわからない。
だが、イタチのような細身ではなく、ハクビシンのように鼻筋が白いわけではなく、
ネコの歩き方ではなかかった。
夏毛のタヌキがこんな感じであるらしい。
わからないが、タヌキということにしておこう。
大学病院のちょっとした木立のあるところの通用門から外をうかがって出て来たところ。
道を渡ったところには、看護学校と大学の体育館などがある。
そこにも茂みがある。
出てきたところで、ニンゲンがいることに気付いて足がとまる。
タヌキは危険を感じると、まず止まるのだそうだ。
だから自動車に轢かれてしまう。
そんなことを読んだことがある。
草むらにあをき光の瞬きぬたぬきと相見る窓のうちそと/佐藤南壬子『窓』
それにしても、東京二十三区内である。
世田谷あたりに出没するのは佐藤南壬子さんの歌にもあるとおりだが、出会うとは思わなかった。
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