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高校に入学したばかりの頃、北海道に移り住んだ親族から、
10枚組くらいの絵葉書セットを贈られた記憶があります。道内各地の
観光地の絵葉書一枚ずつに、啄木の歌が添えられた絵葉書でした。
私は当時、啄木というと「ちょっと情けない歌を詠む人」という印象で、
好きではなかったのですが、その何首かに強く惹かれた記憶があります。
 

しらしらと氷かがやき/千鳥なく/釧路の海の冬の月かな
 さいはての駅に下り立ち/雪あかり/さびしき町にあゆみ入りにき
 みぞれ降る/石狩の野の汽車に読みし/ツルゲエネフの物語かな
                        石川啄木

特に好きだったのが
 

函館の青柳町こそかなしけれ/友の恋歌/矢ぐるまの花
                        石川啄木

で、この歌になぜ惹かれるのか、と考え込んだ記憶もあるのですが。
それで自分でも詠んでみようとは、ならなかったので、絵葉書の美しさ
などの印象の方大きく作用していたのか、と思うのですが。

こんな昔のことを思い出したのは、札幌の大通を散策し、啄木の歌碑に
出会ったからでした。

この歌碑の歌は 
 

しんとして幅広き街の/秋の夜の/玉蜀黍の焼くるにほひよ
                      石川啄木

そして少し歩くと、絵葉書で見たと同じ景色が目に飛び込んできて・・・。
まさに啄木の歌とセットで覚えていた景色でした。

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