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毎月の詠草用紙がホームページから簡単にダウンロードできるようになりました。ただし、「塔」誌についている用紙とサイズを揃えるために、かならず「キリトリ線」で切ってから投函してください。画面右上に小さく「詠草用紙」とあるところです。

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さて、鈴木さんにつづき私もStay homeな投稿をひとつ。十数年ぶりにヴィスコンティの映画『ベニスに死す』をDVDでみました。トマス・マン原作のこの物語、筋をご存知のかたが多いとおもいますが、静養のためにヴェネチアを訪れた老作曲家が、美少年タージオに出会い、一方的に強いまなざしで追いかけつづける話です。台詞がすごくすくなくて、表情と沈黙で語る。ラストシーンももちろん胸に迫るのですが、ヴェネチアで流行りはじめた疫病の存在を、はじめ地元のひとたちが(地元の経済のために)隠蔽しようとする、そのあたりも今みるとやっぱり、なまなましかったです。

じつは、10代でこの映画をはじめてひとりでみたとき、なんと愚かなことに、私はベニス(Venice)=ヴェネチア(Venezia)という基本的なことがわかっていなくて、ベニスというのを、単にヨーロッパのどこか海辺の街だとおもっていたのです(『ベニスに死す』の舞台はヴェネチアといっても「リド島」という島なので、あまり運河とかが映らないせいもある)。だから、もう一度みられてよかった。

写真は去年の10月にヴェネチアで撮ったもの。はじめてのイタリアで、しかもヴェネチアには夜行列車に乗るために立ち寄っただけで泊まらなかったので、そんなに散策はできなかったのですが、とてもいい天気で、たくさんの観光客が運河をゴンドラで陽気に渡っていました。まさかその日から半年もたたないうちに、新型コロナウイルスでこんな状況になるとは、私もふくめそこにいた人々みんな、夢にもおもわなかったでしょう……みなさん、どうぞ心身ともにお気をつけて過ごしてください。

観光客やゴンドラが消えた現在のヴェネチアでは、運河の水がぐんと透明になって、クラゲまで泳いでいるそうです。
https://www.reuters.com/video/watch/idOWjpvC4GE4KTKZ3MQYCRLR008W82DV0

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少年ヴェニスに生き残りたり青柘榴/塚本邦雄

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