ななくさ
世の中は、いろいろ気がかりなことがあるが、1月7日なので「七草粥」とする。
新暦の1月7日だから、野山の草など無いだろうけれど、南のほうの海沿いの土地かそこぞのビニールハウス栽培(?)の七草セットにて。柴漬をちょっとだけ添えた。
七草のなづなすずしろたたく音高く起れり七草けふは/若山牧水『黒松』
「たたく」とは、俎板の上で叩くことか。七草の「鳥追い歌」を歌いながら、あえて叩くようにするわけだが。
かつての台所では、木の俎板と菜切り包丁の音が響いていたものだ。
それが台所に立つ者の技量なども感じさせて、物語を彩ったりもしていた。
今でも音は立つが、樹脂製の俎板だとどうだろう。
うち囃す者なくひとり とんとんと七草叩く春のななくさ/雨宮雅子『水の花』
雨宮さんもお亡くなりになったが、「うち囃す者なく」には伴侶を亡くした寂しさが滲む。
唱ひつつ春の七草叩く宵飲食をせぬものも招ばれゐつ/小林幸子『枇杷のひかり』
あ、あの音は「招ぶ」ものだったのだ。
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