短歌時評

運用と手順④ / 吉田 恭大

2020年5月号

 四月七日に七都府県を対象に緊急事態宣言が発令され、首都圏は劇場、映画館、美術館や図書館など、およそ文化芸術に携わる施設は公立私設を問わず、軒並み一か月以上の長期閉鎖となった。このテキストが読まれる頃には、皆様いかがお過ごしでしょうか。
 取り急ぎ本稿では、新型コロナウイルスの感染防止に伴うイベント自粛という観点から、二月末から三月にかけての、主に塔短歌会と都内の短歌関係のイベントの動向について纏めておきたい。
※各イベントについてはtankanet「短歌関係イベントの中止・延期情報まとめ」、株式会社インテージ「新型肺炎カテゴリ動向レポート」などを参照させていただいた。
 
二月十九日 二月二十二日開催「第二回笹井宏之賞授賞式及びシンポジウム」中止決定
 二十三日開催「佐佐木定綱歌集『月を食う』刊行記念トーク&サイン会」中止決定
二月二十日 二十一日開催「『ねむらない樹』vol.4 刊行記念トークイベント」中止決定
二月二十二日 二十九日開催「相原かろ歌集『浜竹』批評会」延期決定
二月二十四日 三月一日開催「塔 横浜歌会」中止決定
二月二十五日 二十七日開催「塔 京都平日歌会」中止決定
 八日開催「現代短歌新人賞受賞式」中止決定
二月二十六日 政府、イベント中止要請
 三日開催「塔 山城歌会」中止決定
二月二十七日 「第六回大学短歌バトル2020」開催中止または延期決定
 一日開催「塔 岡山歌会」中止決定
 十四日開催「塔 大阪歌会」中止決定
 十五日開催「塔 東京歌会」中止決定
三月二日 全国の小中高校が休校期間に
三月三日 現代歌人協会令和二年度主催講座中止決定
三月四日 二十一日開催「塔 旧月歌会」中止決定
三月五日 二十八日開催「川俣水雪歌集『シアンクレール今はなく』歌集批評会」中止決定
三月十日 政府、さらに十日間の自粛要請
三月十二日 WHOがパンデミック宣言
三月二十三日 都知事が四月十二日までの大規模イベント自粛を要請。
三月二十四日 東京オリンピック延期決定

 
 短歌に限らず、おおよそのイベントについて、行政側の要請に先んじて主催側により中止・延期の判断が為されたという点については、今一度記憶しておきたい。少なくとも文化行政において、国が主導で有効な手段が図られることは何一つなかった。中止された企画には当然ながら補償が行われることはない。
 東京都内の超結社系の歌会に関して言えば、四月以降通常通り開催しているところは無い。会によっては zoom をはじめとしたウェブ会議のシステムを導入するなど、既にコロナ以降を見据えた運営方法を導入している。
 また、出版社では、KADOKAWA では「短歌」電子版バックナンバーの限定無料公開、短歌研究社では「短歌研究」の付録小冊子であった「短歌研究ジュニア」の郵送頒布、書肆侃侃房は書籍の直接通販に対して送料無料で対応する、などの状況を踏まえた対応がそれぞれなされている。
 
 四月十日、福岡で予定されていた本年度の塔の全国大会の中止が伝えられた。このテキストが読まれる頃には、皆様いかがお過ごしでしょうか。

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