ブログ

カテゴリー "大森静佳"

みなさま、こんにちは。
塔zoom歌会はこれまでも選者が毎回ひとりずつゲスト的に参加していましたが、この9月からは編集委員もそのローテーションに加わることになりました。

・zoom歌会のメーリングリスト
・ホームページの「イベントカレンダー」「お知らせ」

で毎月の開催日時などを告知していますので、ご興味のあるかたはまずぜひメーリングリストにご登録ください。ご登録の希望は、「塔」誌面の「各地歌会案内」のzoom歌会のところに載っている近藤由宇さんのメールアドレスまで。

いま住んでいる家はペット禁止なのですが、玄関先によくこの2匹の猫がやって来て仲良く日向ぼっこをしています。いわゆる地域猫。左が「茂吉」、右は「赤彦」、勝手に名前をつけました。

赤彦(あかひこ)はいまごろ痛(いた)みふかからむ赤彦をしましねむらせたまへ
/斎藤茂吉『ともしび』

先週、用事があって群馬県のみなかみ町をはじめて訪れました。現在の町名が、若山牧水の随筆「みなかみ紀行」に由来する町。牧水が大正時代に旅してから100年が過ぎたそうです。行きの新幹線で岩波文庫の『みなかみ紀行』を読み返しましたが、旅先で会ったひとの人物スケッチや台詞の切り取り方、温泉や酒に対するはしゃぎぶりなど、愛情深く生き生きした筆致で、読むと気持ちが明るくなります。

みなかみ町の「たくみの里」「猿ヶ京」「谷川」などを地元の研究会のかたにご案内いただきました。牧水の歌碑が本当にたくさんあって驚く…。晶子や吉井勇の歌碑もありました。


こちらは、猿ヶ京温泉の新しい歌碑。3月に除幕式があったばかり。

高き橋此処にかゝれりせまりあふ岩山の峡のせまりどころに
/若山牧水『山櫻の歌』

行き行くと冬日の原にたちとまり耳をすませば日の光きこゆ
/若山牧水『くろ土』

これは昔から好きな歌なので、この歌が実際に詠まれた土地で歌碑を見られて嬉しかった。

歌碑ではないですがこの巨石、何のかたちに見えるでしょうか。
最初、牛かなと思いましたが猫だそうです。養蚕がさかんな地域なので、蚕の大敵であるネズミを駆除してくれる猫が崇められていたとか。

猫といえばみなさん、「塔」5月号「方舟」、中型犬さんの「犬派に告ぐ!」は読まれましたか。とてもおもしろかったです。「塔」誌面に載った犬の歌と猫の歌を丹念に数えた結果(!)「七ヶ月連続で猫が犬より多く詠まれている」と、犬派歌人に奮起を促しておられます。

今月のはじめに私もやっと、法然院の河野裕子さんのお墓と歌碑を訪ねることができました。歌碑のまわりには、まだ色鮮やかな落ち葉。

帰りがけ、近くの古本屋で高安国世訳のリルケ『ロダン』(人文書院)をみつけて購入。岩波文庫版の『ロダン』をすでに愛読しているけれど、単行本はこれはこれでサイズ感やタイトルの文字に味がある。

詩句の中には、文字面からとび出していて、書かれたと言うよりむしろ造形されたように見える箇所があった。詩人の熱い両の手の中で融けてしまっている言葉や言葉の群があった。浮彫の手触りをもった行(ぎょう)があり、又、入り組んだ頭飾のついた円柱のように、不安な思想の重荷を担っている十四行詩(ソネット)もあった。この芸術は、その不意に終るところで他の一つの芸術の発端に突き当っていることを、そうして他ならぬこの芸術をそれは憧れ求めていたのだということを、彼はおぼろげに感じた。彼はボードレールを自分の先駆者だと感じた。―R.M.リルケ『ロダン』(高安国世訳)

***

さて、明日で2022年も終わりです。私は編集部でおもに毎月の校正のとりまとめを担当しているのですが、今年から初校の会場に埼玉と滋賀が加わり全国8ヶ所になりました。コロナの影響などで、各地とも少人数で大変ななか作業してくださっています。毎月の詠草は読みやすい字で、また旧仮名の方は投函前にかならず、仮名遣いが正しいかどうか辞書などでご確認をお願いします。

今年も1年間、ありがとうございました。
よいお年をおむかえください。

今日は13時から16時まで、事務所で京都平日歌会でした。
参加者は司会を入れて14名。

いつも参加者の大部分が12時すぎ頃には事務所に到着して、詠草集の選歌をするのですが…今日の京都は気温35度。換気のため窓を開けはなっているせいもあり、もともとエアコンの効きがいまいちなせいもあり、サウナのような暑さでした。ハンカチで汗を拭き、扇子やうちわであおぎ、「歌が頭に入ってこない」とくちぐちにこぼしながらの選歌タイムとなりました。歌会は暑さに負けない熱さでした。

写真は、こんな設定温度でもちっとも涼しくなかったエアコンのリモコン。

さて、再度のお知らせですが、8月から塔zoom歌会のメーリングリストが動きはじめます。
以下の詳細をお読みになりぜひご登録ください↓

zoom歌会メーリングリストを作ります

この前の日曜日(現代歌人集会の翌日)、四条烏丸の泥書房でおこなわれた山下翔さんのトークセッション「枝豆とビール」に参加してきました。山下さんといえば、最新歌集『meal』(現代短歌社)で食べることやお酒をとおして「生きる」を哀歓ふかく表現した歌が印象的です。ちょうど「塔」7月号の歌集歌書探訪でも、紺屋四郎さんが『meal』を取り上げておられます。

配布されたレジュメ「食べ物のうた」30首選、「塔」の歌人では

夜を照らす「並」や「卵」の字に触れて食券を買う国道沿いに 吉川宏志『短歌研究」2019.6

思ひ出はそこにあるかと思ふまで白飯そめる紅生姜のいろ 花山多佳子『木香薔薇』

たこ焼きのプレートこわれ家族四人集まる時間少し減りたり 前田康子『窓の匂い』

雑食の蛸であるゆゑ太すぎる今年の足を皆畏れたり 梶原さい子『リアス/椿』

が引用されていました。
美味しい枝豆とビールを(感染対策のため)黙っていただきつつ、楽しいひとときを過ごしました。


これまで、塔Zoom歌会についてはホームページの「お知らせ」欄やtwitter公式アカウントで告知してきましたが、このたび、新しくメーリングリストをつくることになりました。このメーリングリストに登録すると、毎月のZoom歌会の日程などの告知メールが(司会担当者から)届きます。今までZoom歌会に参加したことのあるかた、あるいは少しでも興味をお持ちのかた、ぜひご登録ください。運用開始は8月〜の予定です。

登録したいメールアドレスを、以下(大森)までお知らせください。

oomrshiz@gmail.com

なるべく今月末までにお知らせいただけると助かります。

2020年夏からスタートした塔Zoom歌会は開催50回を超えました。1年目は沼尻つた子さんと佐藤涼子さん、2年目はいわこしさんと平出奔さん、そして来月からは新たに森山緋紗さんと小林文生さんに司会をご担当いただくことになっています。

現在は、

第52回塔zoom歌会
7月16日(土)14時00分〜16時00分

第53回塔zoom歌会
7月24日(日)20時〜22時頃

の参加者を募集中。
みなさん、どうぞ全国各地からお気軽にご参加ください。

今日は烏丸丸太町のハートピア京都で、4月号の再校作業&5月号の割付作業でした。4月号は本体272ページと分厚く、再校作業も13時から17時まで10数名でみっちりと。終わって建物の外に出るとまだ明るい。日が長くなったのは嬉しいですが、とにかく目が疲れていつも帰り道はぐったりです。今日は旧仮名や文法の間違いのほか、「湯たんぽ」が「湯たんぼ」になっている誤植などを見つけました。

再校風景の写真を撮ってこようと思っていたのに、すっかり忘れていたので……こちらは以前、堺の与謝野晶子記念館に行ったとき南海電鉄堺駅の西口広場で撮った与謝野晶子像の写真です。もともとは右手に筆、左手に短冊を持っていたそうですが、いつのまにか失われてしまったようです。

年明けから講談社の『與謝野晶子全集』(全20巻で、歌集はそのうち1~8巻)を少しずつ読んできて、今夜ようやく最後の歌集『白桜集』を読み終えました。63歳で亡くなった晶子。歌集は生前未刊のものを含めると30数冊あって、しかも『白桜集』は2423首も収録されているので、なかなか時間がかかりました。せっかくなので『白桜集』から、あまり有名ではないけれど印象に残った歌を。

君むかし麒麟のやうに踏み越えし湖畔の谷の一枚の橋

東京の吹雪の報の至れども君が住む世のことにもあらず

うす日射しあたたかげなる氷柱かな白きけものの乳房のやうに

木の間をば登山電車の走せ去るも死の速力にくらべられつつ

一度は汽笛のやうに悲しみを吹かしめよとも願ふ初夏

夫・鉄幹への挽歌や自身の老いや死の予感を詠んだ歌が多くしみじみしますが、ときどき次のような面白い歌も出てくる。

日光の華厳の瀧を白菜の一葉と見るを人なとがめそ

群(むれ)をなしこれは林間学校の生徒のごとき竹煮草かな

こんにちは。
「塔」3月号が各地に届きはじめているようです。

今週末は塔短歌会賞・塔新人賞の発表号でボリューミーな4月号の「再校」作業ですが、先週末には「初校」作業が全国6ヶ所でおこなわれました。東京、名古屋、京都、大阪、芦屋、鳥取の各地に初校チームがあって、毎月(第2金曜日の午後が多いです)会議室などに集まって校正作業をしてくださっています。

さてこの「初校」作業、4月からは埼玉と滋賀で新しく分担してくださることになりました。これで全国8ヶ所に増えます。お近くにお住まいで、校正作業のお手伝いをしたいという方がいらっしゃったら、ぜひ私か編集委員か、あるいは各地初校の参加メンバーにお声かけください。ご協力いただけると助かります。京都では再校作業もやっています。

写真は、毎月の初校まとめのたびにどんどん溜まっていくクリップ。これで綴じた元原稿(みなさんの月詠を選歌欄ごとに分けた束など)が詠草受付→選者→印刷所→初校→再校と回っていきます。元原稿はわが家にあるのですがクリップが増えすぎると困るので、半年に1回のペースで選者のみなさんに再配布します。そのクリップがまた巡りに巡って…という仕組み。

息とめてとても静かに引き上げるクリップの山からクリップの死 盛田志保子『木曜日』

木村輝子さんを中心に、毎月大阪の高槻市で歌会をしている結社内グループ「けやき」の連作集「けやきvol.5」が出来上がりました。目次は以下の通り。メンバー20名による連作20首とエッセイのほか、前号評は花山多佳子さん。

特筆すべきは、36ページにおよぶ木村輝子さんの「河野裕子の歌と言葉」。
「塔」2014年8月号〜2015年1月号・4~9月号で連載された文章の再録となります。

カルチャーや歌会の場面で、その時、その時の生の言葉で河野裕子さんが語られたことのメモを読み返しながら、歌を詠む、または読むとはどういうことかを考えていきたいと思う。京都朝日カルチャーの詠草、及び京都旧月歌会の詠草に書き込んだ言葉、そして大阪の毎日文化センターでの河野裕子教室を受講していた川田伸子さんの書き込みなどを参考にしながら、教えられた事、考えてきた事を書いていきたいと思う。歌を詠むことにも、読むことにもほんとうに真摯な人だったから。(「はじめに」より)

河野さん自身のさまざまな言葉を紹介しつつ、全15冊の歌集とその歌の世界に触れた文章です。この機会にまとめて再読したい方、連載当時はまだ会員ではなかった方などにも、ぜひお読みいただけたらと思います。

購入希望の方は、会員名簿をご覧になって木村輝子さん宛にハガキでご注文ください。一冊につき送料込みで680円(振込用紙を同封してお送りします、とのことです)。

第12回塔短歌会賞・塔新人賞の募集〆切まで残り10日を切りました。16日(火)消印有効です。募集要項は「塔」10月号のp.21に載っていますので、ご確認の上ぜひぜひご応募ください。

また、「実は読んでいなかった…」もひきつづき募集中。今年の1月号に掲載された50冊の歌集リストから未読のものを読んで、感想文をお送りください。募集の詳細は10月号ですとp.119に載っています。

写真は京都市水族館のお土産コーナーで買った、南極のペンギン型の氷ができる製氷器。なかなかきれいです。

ページトップへ