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カテゴリー "岡部史"

この度もブログ当番ではなく、割り込みで失礼します。
先月下旬、普段利用している駅近くを歩いていると、警官の姿が
見え、さらに歩道に人垣ができている。はて、事故でもあったか、
と人々の視線の先を見ると・・・。

なんと親鴨が子鴨を引き連れて車道を歩いているのでした。
警官が車を誘導し、どの車もそろそろと通っていきます。
親鴨は悠然とジグザグの歩行を続け、観ている方がはらはら。
でも、問題はその先・・・。
一番近い川辺まででも一キロ以上はあるのです。
この後、鴨さんたちはどうしたのかな・・・。

 雪ふれる余呉湖にそそぐ川水のいたく寂けし鴨を浮かべて
                 田中栄『海峡の光』

ブログ当番ではないのですが。

割り込みで失礼します。

ちょっと皆様にお知らせしたい件が生じまして。

京産大を退職された永田和宏氏、熊本でレタスをつくる

お仕事を始めたらしい(?)。

(写真は六月某日、某バーガーショップにて)

グアムでは十年余り前まで、政府公認の唯一のギャンブル、
ドッグレースが行われていました。一周五百メートル弱の
トラックを、大型のグレーハウンド犬が、時速70キロもの
スピードで走る、と聞いてグアムを訪れた折に足を伸ばしました。

賭け事には興味がなく(そんなお金あったら、自分に賭ける!)
観るだけ、のつもりでした。写真のように、出場前にエントリー
された犬たちがお披露目され、観客は身近で犬の状態を
確かめることもできます。どの犬も興奮気味。少しでも
身体を軽くしておこう、との意図でしょうか、目前で
脱糞してしまう犬もいて。なんだかとても愛おしくなり、
私も、「やっぱ、賭けてみよう!」と、馬券ならぬ、犬券を
買い求めに走りました。果たして、成果は?

三度ほど買いましたが、かすりもせず・・・。
やっぱ、観るだけにしよう、ここでシャカリキになったら、
日本に帰れなくなるかもしれん・・。と自分を諫め・・・。
しばらく犬が走る姿を集中して観ていました。
競馬と異なり、犬は騎手を載せたりしないので、とにかく、
身軽に美しい。勿論、馬の走る姿も美しいけれども、
地面とほぼ水平に飛ぶように駆け抜ける姿は、特に素晴らしい。

すると、そこへ、これまで見たどの犬よりも美しい、と
思われる犬が登場したのです。バランスの取れた筋肉。
落ち着いた表情。言い忘れましたが、競馬の馬と同様、
どの犬にも名前がついていましたが、この美犬は、なんと、
Assassin! 「暗殺者」なのでした。む~、何という凄い
名前なんだろう! と、唸り、何も考えずにそのまま
犬券売り場の窓口に駆け込み。そうして・・・・・。
みごと一着でゴール!損した分ほど戻ってはきませんでしたが、
何だか、本当に嬉しくなって、今もあの夜のことを思うと、
胸がワクワクします。

 脱糞を遂げたるのちは全力で駆けもどりくる一頭を待つ
               なみの亜子『ばんどり』


このコロナ禍で、今年はお花見もできずに過ぎました。我が家の
近くにも、ちょっとした桜の名所があるのですが・・・。
そこにさえ、足を運ぶことなく。

一昨年、ちょうど桜の満開の頃に都内に用事ができ、少し迂回して、
目黒川のお花見に出かけたことを思い出しました。上の写真は、
目黒駅前の権之助坂。私は学生時代、このあたりにあった信託銀行で
アルバイトをしていたのですが、もう確たる場所がわからないほど、
変わってしまっています。

目黒川も私の記憶の中では、都市の谷間を流れる、小汚い小河川、
というイメージでしたが、見事に変貌を遂げておりました。
行き交う人々の間から、中国語や韓国語も聞こえ、欧米の人の姿も。
目黒川に掛かる新橋の上、多くの人の頭上からカメラを差しだして
撮影してみました。

  紙風船が吹かれるほどの風に浮くさくらはなびら川は吸い寄す
                 花山周子『林立』
  四階の部屋の窓より見下ろせり高き護岸の間(あひ)の目黒川
                 花山多佳子『晴れ・風あり』

三週間ほど前、朝刊に長谷川郁夫氏の訃報をみつけた。享年七十二。
学生時代に出版社小澤書店を創業された方である。すぐに思い出したのが、
「前川佐美雄全集」。佐美雄の『植物祭』『大和』『捜神』は、現代歌人
全集に収録されているので読んでいる。だが、他の歌集、たとえば『天平雲』、
『積日』などを読みたい。佐美雄の自選集『方響』に、一部を読むことが
できたが、それだけでは物足りなく思っていた。
やがて、小澤書店から「前川佐美雄全集全五巻」が刊行されると知った。
四半世紀くらい前になる。
購入したい、と思ったのだが。ちょっと躊躇したのは、お値段。
一冊一万円プラス消費税。当時は三%だったけれど、やっぱ高いよね。
えいっと、それこそ山から飛び降りるつもりで買いました!まず第一巻。

  たつた一人の母狂はせし夕ぐれをきらきら光る山から飛べり
                    前川佐美雄『大和』

一巻には、天皇を神格化し、戦争に高揚する作品を収めた『日本し美し』
等の歌集を収められていた。この歌人の知らなかった作品群に驚き。
短歌の韻律がそそのかす負の側面か、と思ったりもしたのだった。
それでも、『天平雲』をじっくり読めたことが一番の収穫。

  山上の湖(うみ)の水ひくく漏れて来てまたつくる青くちひさなる湖
                   前川佐美雄『天平雲』

全集の第二巻までは歌集篇だったので、第二巻までは頑張って買おう、
と思っていたのに、いつまでも刊行されず。2000年、小澤書店は倒産。
私の手元にはこの一冊だけが残りました。

今年はネズミ年、とネズミの歌などを詠み合ったのはつい五か月ほど前。
もう何年も前のことに感じます。この間に起きたことが凄まじすぎて。

気を取り直して、もう一つ、ネズミに関する話題を。
写真は、オーストラリアに棲息する鼠の仲間、ウオンバットです。
体長はせいぜい数十センチ、でも体重は30~35キロほどにもなる、
ずんぐりむっくり。カンガルーなどと同じく、小さく子供を産んで、
しばらくおなかの袋の中で育てる、有袋類です。
  ウオンバットといふは巨大なる鼠にて吾ら見せらるその尻の張り
                    大辻隆弘『デプス』
  老齢のウォンバット一頭多摩にいて丸太を抱きて眠る話を
                    永田紅『春の顕微鏡』
この体型とちょっととぼけた仕草が親しみをよぶらしく、ウォンバットは
オーストラリアでは児童書の世界でも人気者です。

コロナウイルス感染拡大の恐れで、もうどこにも行けない毎日。
華やかな行事の多い三月も、今年は息苦しいような日々ですね。

昨年、お雛様(手作りのものと古雛)の展示会に行ったことを
思い出しました。そこで、さるぼぼに出会ったことも。
展示会の参加者による手作りのものです。

さるぼぼは、飛騨に伝わる古い人形で、豪華なひな人形などを
購入できない民家では、ひな祭りに飾ることもあったとか。
唐代の中国から伝わったと言われている、とても古い素朴な
人形でした。さるぼぼという名前も愛らしいですね。
飛騨の言葉で「ぼぼ」は「子供」を意味するそうです。

  ひとり旅に一位細工のさるぼぼの”金運上昇”買ふ空ごころ
                  丸山順司『チィと鳴きたり』

一位細工は飛騨の匠の伝統を引く工芸らしいですが。
こちらのさるぼぼは、金運を招くというものなのでしょうか?

ブログ当番ではないのですが、割り込みで、失礼します。

毎年12月の上旬には、寒さ対策のため、観葉植物の鉢を家の中に
入れています。お天気の良い日中は、外で日に当てているのですが。
今まで一度も花を咲かせたことのない、「金のなる木」の鉢に、ミノムシが
ついているのを見つけました! 私、これまでほとんどミノムシを
見たことなかったので、感激してカメラを向けることに。

こんなところで越冬しちゃって、大丈夫?
と、声をかけています。四月には外に出すので、無事、旅立っていくでしょうが。
あれれ、題がまたまた真中風になっちまいました・・・。

 みの虫はみの虫のままに死ぬなれば柘榴の枝に吹かれよ吹かれよ
                     今野寿美『若夏記』

ネズミの仲間といえば、ディズニーのミッキーとミニーは外せませんね。
「塔」のフリマで配られた「ねずみの歌」のアンソロジーも、この二匹が
かなり詠まれておりました。写真は、香港のディズニーランドでの
パレードから。次から次へとやってくる豪華な出し物に、もう夢中になって
見入り時を忘れました。

ディズニーランドって、なんてところでしょう。虚無的なまでの巨大な幻想、
ばかばかしいほどの華麗さ、見る人を無化するような、賢い人をも一時は
アホに、アホな人はさらにさらにアホにするような、虚ろな、かつ、
爆発的なエネルギー。もうどこにも行きたくない、このままここに、ずっと
ずっと、ミッキーたちと留まっていたい、と思わされる。でも、どんな宴にも
終りはあって・・・。

  パレードのミッキーマウス届かないものに僕らはいつも手を振る
               上澄眠(「ねずみの歌」から)
  
  ねぇねぇねぇ汚れちまった悲しみを根こそぎ落とすネズミーランド
               相原かろ『浜竹』

写真は大阪の海遊館で撮影したカピバラです。ずっと本物を見たい、
と思っていたので、数年前に大阪を訪ねてカメラに収められた時は
感激しました! ガラス越しなので、写りは良くないのですが。
意外に大きいのです。そしてとぼけた様子がとても愛らしい。

カピバラには個人的な思い出が一つ。もう四半世紀も前に、動物が
二百十数種類も登場する絵本を訳したことがあるのですが、この時、
「ジャングル」の頁に、一匹、大きな鼠状の生き物が登場。
原書ではWater cavy となってました。手元の辞書にはない言葉、
あれこれと調べると、「テンジクネズミ」としている資料があり、
納得できないままやむなく、これを採用したのです(インターネットは
まださほど普及しておらず、私は使っていなかった)。
二千年代に入ってから、カピバラとして紹介されている映像を
テレビで見て、あっ、これじゃないか! と・・・。今じゃ、カピバラを
知らない人って、いないですよね(翻訳の言葉は古びやすい)。
もう遅いけれど、訳をなおしたくてうずうず。
少なくとも、「ミズオオネズミ」にしておいたら良かった。

 南米産ミズオオネズミカピバラは日本の出湯に目を細めをり
                    岡部史

追記 記事をアップした後、「塔」のフリマで配られたという「ねずみの歌」
をネットプリントしに近くのコンビニへ出掛けてきました。するとその中に
二首のカピバラの歌を発見! 詠んでいそうな人の歌集を何冊か調べて、結局
見つからずに上記の拙作を載せたのでしたが。お二方の作品を以下に。

 あくまでもねずみではないと言いそうなカピバラ映る干支引継ぎに
                         菊井直子
 カピバラはネズミ目とぞ知りしときその四頭身おそろしく見ゆ
                         村上和子
                                                                                        

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