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ワシントンの自然史博物館を訪れたのは、1986年4月某日午前。

コロナ籠りしていた今春、書棚を整理していて、その折に
購入したパンフを発見しました。表紙の写真は、スミロドン。
更新世と呼ばれている時代に生息していた大型獣で、
剣歯虎などと和訳されている動物。
犬歯が発達していて、英語名はSabertoothed Cat。

発見場所はロスアンジェルス郊外にあったタール溜りで、
地下のタールが砂状の地表に絶えず滲出しているような
地域だったらしい。落ち葉などでその様子がみえづらく、
動物たちが足を踏み外して一度落ちるともう、生還不能。

タール溜りでは、湿度や空気から遮断されるので、
このような完全な骨格が発見される確率が高いらしい。
それにしても見事な立ち姿、と思いませんか。

私はこの骨格の前でしばらく身動きできませんでした。
この後、博物館前に迎えに来てくれた永田和宏氏の車で、
ワシントンで開かれた歌会に参加。人生でそう多くない、
密度の濃い一日となったのでした。

スミロドンは、大型獣でしかも絶滅していて・・・。
ちょっと恐竜に似ていますよね。どんな暮らしをしていたか、
いろいろと想像をそそられます。

 首と尾を水平に伸ばすが定説となり恐竜は組み直されぬ
                   森尻理恵『S坂』
 一億年前暴君竜(ティラノザウルス)は谷のスミレを踏んだであろうか
                   三井修『軌跡』

  

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