ブログ

yashi3
yashi1

近所の公園。椰子のような木の周囲、おびただしい落果が甘い香りをただよわせていて、これはまず食べられるものに違いないと思い、ひとつ齧ってみる。甘酸っぱい(……とはじめて口に入れたのは2年ほど前のこと)。

はじめ、これがかのナツメヤシかと思ったが、実のかたちが違う。棗型ではなく、もうすこしずんぐりしている。球形に近い。

調べてみると、どうも「ヤタイヤシ」というものであるらしい。南米原産で比較的耐寒性があるのだという。「ヤタイ」というのは「屋台」ではなくて、学名「Butia yatay Becc.」によるものだとか。

全身をわらに包まれ塔となるヤタイヤシの樹人を迎える/西藤久典『七転び八起き』

西藤さんの作品は「氷見海浜植物園」の冒頭。耐寒性といっても、さすがに雪国では保温しないと年を越せないのだろうが、藁で包んでしのげるのだからたいしたものだ。

ヤタイヤシの実は繊維が多い。これはたぶん、ナツメヤシにも共通することなのだろう。乾燥させると酸味・甘みのバランス、繊維のがさつきもちょうどよくなるのではないか。
ナツメヤシ(デーツ)を生食したことはないが。

そんなことを思いながら、ひとつかみ拾ってきたものを食べる。たくさん食べるものではないが、良い味だ。

yashi2

ついでなので、ナツメヤシの出て来る作品をすこし拾ってみる。

地中より上りくる鹹吸いながら苦しみ育つ棗椰子なり/三井修『砂の詩学』
高温多湿いよよ募れど棗椰子の実の豊穣を人はよろこぶ/齋藤芳生『湖水の南』
水の居処は棗椰子(デーツ)の在処 たをたをと大いなる葉を空に噴き上げ/岡部史『韃靼の羊』

長期に滞在した人の作品。旅の作品など。
千種創一さんの『砂丘律』にもありそうだが、アラビア語の詩の引用の中に出て来るのみでありました。

コメントを残す

  • やまさき より:

    良く撮れている植物の写真は好きです 

    ところで 雑誌「ミセス」の写真すべていいです  特にある高価な腕時計の広告が好きで 同じ2枚を 貼ってながめています

    もちろんこのブログの写真も 三枚、 貼ってながめています!! 

  • 真中朋久 より:

    またまたありがとうございます。
    なかなかプロのようには撮れませんが、それでも構図とかどこに焦点をしぼるとか考えながら撮ったり、撮ったものを選んだりします。

    これ、短歌をつくるのと同じかどうかはわかりませんが、似てるのではないかと。

ページトップへ