デミアン(松村)
「塔」10月号の編集後記に永田さんがドイツ出張の話を書いてます。ヘッセの『車輪の下』の舞台になったマウルブロン修道院へ行った話など。
今日届いた「短歌往来」11月号を開いたら、巻頭に永田さんの21首が載っていて、その中に「ハイデルベルグ出張六首」と詞書きの付いた歌がありました。
隠れて本を読む物陰はいくつもありて若きヘッセを暗く閉ざせり
繰りかへしデミアンを言ひゐしはきみなりきこの修道院にわれひとり来て
2首目の「きみ」は、もちろん河野さん。『デミアン』のことを河野さんは何度か文章に書いていたと思いますが、昨年出たエッセイ集『わたしはここよ』から引いておきます。
運命は自分で拓いて行くものだ。このことばはいつからわたしに住みついたのか。十七歳のとき、ヘルマン・ヘッセの『デミアン』を読んだ。これまでの人生で『デミアン』ほど繰り返し読んだ本はない。背表紙がすりきれて外れてしまい、ページがバラバラになってしまったのをセロテープや糊で造本しなおしたのをいつも持ち歩いていた。冒頭の部分など意味も分からないままに暗記していた。
岩波文庫の実吉捷郎(さねよしはやお)訳に愛着があったようです。
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