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見た途端、うなされそうなこのド迫力の物体は、南日本からインドネシアに分布す
る毒をもつ海蛇。そして沖縄の伝統的な高級食材でもある。元は茶色の濃淡の縞が
ある。燻製によって、ご覧のような黒檀状の皮膚に。滋養に富み、コレステロール
降下作用、血栓防止作用なども期待され、強壮、疲労回復効果もあるのだとか。
(いえいえ、私など、とてもまだ、味わったことはありませぬ)。池澤夏樹氏が
『神々の食』のなかで、その味を紹介されています。

おもな産地は久高島。ノロと呼ばれる女性神官が支配していた島で、イラブー
の捕獲権もノロが占めていたらしい。住人にもほぼ女性で、男性は、
老齢者と遠洋での荒仕事に耐えられない、病弱な青年だけだったのだとか。
ひとつの食材が語る、島の複雑な歴史・・・。

  久高なる 島の青年(ヲグナ)の言ひしこと さびしき時は、思ほえにけり
                       釈 迢空 『海やまのあひだ』

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