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昔のアララギの歌会は、植物の名前を知らないと「図鑑を見ろ」と叱られたという伝説は、それほど誇張ということでもないだろう。それはそれとして、図鑑で覚えればよいというものでもなくて、なまじ図鑑による先入観であれこれ言うより、実見のおどろきのほうが歌のネタとしては新鮮だ。
で、当然それは植物だけのことではなくて、鳥獣虫魚、その他人工的なあれこれでも同じこと。
 
……と言いながら、細かいことを言ってしまうのだが、虫の呼称も、俗称とか土地ごとの呼び方があるからやこしい。

薔薇垣ありき幼かる我と黄金虫と花粉に酔いき/高安国世『一瞬の夏』

「黄金虫」というのが、これまたややこしくて、野口雨情の「黄金虫は金持ちだ」の「黄金虫」はゴキブリのことだと言われている。図鑑的な狭義コガネムシは花粉まみれになることはそう多くない。花粉にまみれるのはコガネムシ科のハナムグリの類。

鉄線の花に睦める青黄金虫(カナブン)別れ飛び立つ素気もあらず/『湖に架かる橋』

これもハナムグリだろう。
カナブンというのも、コガネムシ科の一グループ。
ハナムグリに近いけれど、ハナムグリが花粉や花の蜜を好むのに対して、カナブンは樹液のあるところに集まるもの。
 
総称的にはハナムグリもカナブンもコガネムシ。カナブンで総称している人もいる。
 

重箱の隅つつくのが楽しいんじゃないんです。
 
目の前にいるのは、おまえは誰だ? というのが楽しいのです。
 
そういう意味で、図鑑(最近は、図鑑的なインターネット)をあたるのが楽しいのです。
知らないものは見ても気づかないということもあるから、図鑑をぱらぱらやっていて野に出ると、いろいろ目にはいってくる。
 
 
やたらと多いのは緑色のコガネムシの、たぶんこれはアオドウガネ。
そのへんの草むらとか、夜に網戸にやってくるのは、だいたいこれ。 

花に首をつっこんで花粉にまみれるのではなく、花そのものを食っている。

葉もむしゃむしゃと。

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