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通勤経路であったり、ときどき行く出張先までの道みち、草むらがあって、花が咲いていたり、いろいろな虫がいる。このところはテントウムシ。
 
足をとめて写真を撮ったりしていると、通り過ぎてゆく人に怪訝そうな顔をされたりすることもある。
 
テントウムシの代表的なのはナナホシテントウとナミテントウ。ナミテントウは星が2つのもの、4つのもの、もっと多いものであったり、ナナホシテントウに似て赤い地に黒い星であったりする。先日は多星タイプのナミテントウも見たが、すぐに逃げられてしまった。

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テントウムシの歌はたくさんある。その一部を。
 

斑(ほし)ぼしを七つ数へて掌(てのひら)ゆ発たせてやりぬ春の天道虫(てんたう)/河野裕子『歳月』
風立ちて昏れゆく海に対いいて掌(て)の上にあり天道虫ひとつ/田中栄『冬の道』
天道虫手にのせやれば幼子はおどろきて泣く逃げられて泣く/大塚洋子『雲迅く』

 
小さくてかわいらしいから手にのせて遊ぶ。星の数を数えて、あらためてナナホシだねえと言ったり。
刺したり噛んだりすることもないから、と子どもの手に乗せてやったり。それでも、びっくりしてしまうことはあるのだろう。
 
とはいえ、びっくりするのはテントウムシのほう。
 

運命の如く出あいし我の掌に軽しかるしテントウムシの仮死/高安国世『虚像の鳩』

 
昆虫学の言葉では「仮死」ではなくて「擬死」というらしい。死んだふり。
 

ほそながき枯れ草の上くりくりとテントウムシの赤翅(あかばね)うごく/吉川宏志『鳥の見しもの』
せかせかと天道虫は窓を行き枠に当たりて向きを変えたり/天野和子『絵本を開く』

 
わりあいよく動く。人に見られていることに気付いたりするとき、とくに「せかせか」と動いたり。半球型だから「くりくり」でもある。
 

丹沢に異常発生の天道虫鎌倉までを手提げに入りて/中西よ於こ『薔薇葉』
雲迅く飛ぶあしたにてオリーヴの葉裏に遊ぶ天道虫あり/三井修『砂の詩学』

 
地名の入ってる歌を2首。集団で冬越ししていたりするのを見付けてびっくりすることがあるが、異常発生ということもある。ひとつふたつなら可愛いが、たくさんあると、ちょっと圧倒されるようなこともあるだろう。手提げに入っていたのはそんなたくさんではないだろうが。
三井さんの作品は第一歌集。商社マンとして中東方面に駐在していた頃の作品。オリーヴの葉裏にもテントウムシがいるということは、彼の地にもアブラムシがいるということか。そうではなくて、草食性でオリーヴの葉を食害する種類(そういうのもいる。よくいるのはテントウムシダマシ、その他にもテントウムシに似た虫が)だったのか。
 

天道虫(てんとむし)は赤色だと一口にいうてはならぬバーミリオンもあればカドミウムオレンジもある/北川色糸『光追う日日』
足もとを見下ろしたれば蕗の葉に赤一色の天道虫が/花山多佳子『木立ダリア』

 
同じナナホシテントウやナミテントウでも、赤の色は少しづつ違う。さらに、別種の黄色いテントウムシもいるらしい。画家でもある作者は色にこだわっている。
花山さんの見た「赤一色」は何か。ナミテントウのバリエーションの中で、ときどきそういうのもいるらしい。
 
気をつけてみていると、いろんなものがいるのだろう。
 
 
最後に、蛹と幼虫。これはたぶんナミテントウ。ぼんやり成虫に似た色あいであったりするという。ナナホシテントウとナミテントウは、幼虫のときからアブラムシを食べるのだとか。

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