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新年あけましておめでとうございます。
「塔」は今年で創刊60周年を迎えます。
創刊号(1954年4月号)の「発足の言葉」を思い出しつつ、良い一年にしていきたいと思います。皆さん、どうぞよろしくお願いします。

發足の言葉
               高安國世
 僕たちは短歌を愛して集つた。そして僕たちの考える短歌には自らその傳統があり規制がある。しかし僕たちはただ先人によつて示された道を、藝道のように踏襲するだけで足れりとするものではない。時代時代によつて人間の精神も異ることは歴史を顧れば明らかである。或る時代に確立した文學精神を模倣することに終始するのは愚である。僕たちは短歌の、抒情詩の根源に參入すると同時に絶えず前代の批判と新しい精神への飛躍を志さねばならぬ。僕たち自身が既に來るべき次代によつて批判されねばならぬ。信頼をもつて集つた者同志の、こうした自由な精神の交流を僕たちはここに期待する。
 廣く豐かな心を養つて、僕たちはこの困難な時期に、生活に光と力とをあらしめたい。また僕たちの短歌が、常に眞實を見ぬく力と、虚飾ない美の感覺とを喚起することを疑わない。

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