ブログ

長らく品切れになっていた『永井陽子全歌集』(青幻舎)が、先月8年ぶりに重版となりました。『葦牙』『なよたけ拾遺』『樟の木のうた』『ふしぎな楽器』『モーツァルトの電話帳』『てまり唄』『小さなヴァイオリンが欲しくて』の全7歌集に、解題(藤原龍一郎)と年譜が付いています。
6000円という定価は安くはありませんが、この1冊で永井さんの歌集を全部読めることを考えれば、決して高くはないと思います。永井さんの歌が好きな人にはもちろん、永井さんの歌を読んだことがない人にも、自信をもってお薦めします。
寂しいひとみと寂しい肩を寄せ合えばあんどろめだの息が聞こえる
                 『葦牙』 
ゆふぐれに櫛をひろへりゆふぐれの櫛はわたしにひろはれしのみ
                 『なよたけ拾遺』
べくべからべくべかりべしべきべけれすずかけ並木来る鼓笛隊
                 『樟の木のうた』
大男が梅雨明けちかき街に来てそらの滑車をまはしはじめる
                 『ふしぎな楽器』
生まれくる風やはらかい2Bの芽が出はじめるえんぴつ畑
                 『モーツァルトの電話帳』
鹿たちも若草の上にねむるゆゑおやすみ阿修羅おやすみ迦楼羅
                 『てまり唄』
靴といふ不思議なかたち並べ置く玄関がどの家にもあるのか
                 『小さなヴァイオリンが欲しくて』

コメントを残す

ページトップへ