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 冬道麻子さんの第5歌集、『梅花藻』が出ました。

 難病である筋ジストロフィーによって臥せったままの生活をされながら、詠い続けてこられた月日を思います。

  吸気より呼気なす方が体力を使うとおもうかすかに違う

  片手にて持てぬ重たさ今月も「塔」の厚さの一センチ程

  しら梅を一枝手折りきし母は庭より上がる「よいしょ」とわが声

 「しら梅」の歌、好きです。この時、冬道さんとお母さんは一体化しています。冬道さんの大好きな、ずっと身の回りのお世話をしてくださっているお母さんを、冬道さんの声が、意識が支えます。そして、一緒に庭より上がるのです。

 また、お父さんへの思い、老いの問題など、長く立ち止まりながら読みました。生々しいところも詠ってあるのに、清潔で透明感があります。それは、第一歌集『遠きはばたき』から変わることなく、です。

 

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