「梁」88号(松村)
九州の歌人を中心とした「現代短歌・南の会」の発行する「梁」88号が届いた。「塔」関係では、大橋智恵子さん、村田弘子さん、矢澤麻子さん、阿蘇礼子さんの作品が載っている。
父母を訪ねてゆくか胃カメラの鼻へと入りてくだりはじめる
大橋智恵子
このひとの奥処を細くながれゐる怒りの水音われは聞きゐる
村田弘子
復職をすると知らせる友からの電話を終えて眩しき午後だ
矢澤麻子
確信のもてないことをかなしみて翻訳してゐるわたしのこころ
阿蘇礼子
大森静佳さんの連載「河野裕子の歌鏡」は三回目。
第4歌集『はやりを』と第5歌集『紅』を取り上げている。
今回も力のこもった内容で、『紅』と小池光『日々の思い出』を比較するなど、着眼点が鮮やかだ。
他に、小川和恵、梶原さい子、沼尻つた子の参加する同人誌「ないがしろ」について論じた文章(生田亜々子「同い年の今と短歌」)も掲載されている。
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