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土屋文明には日付の入っている歌が多い。
  偶然かと問ふに答へず二月二十八日九十九里歌碑に寄り立ち
  写真を写す              『続々青南集』
昭和46年、文明80歳の歌である。
文明には一首だけでは意味がよくわからない歌が無数にある。一首の独立性なんて、全く気にしていない。この歌も、何が「偶然」で、どうして「二月二十八日」なのか、全然わからない。
でも、文明の歌をあれこれ読んでいると、けっこうわかってくる。まず、文明にとって「九十九里」と言えば左千夫である。伊藤左千夫の生家は千葉県の山武市(旧成東町)にあり、九十九里浜のすぐ近くなのだ。そのため、文明は何度か左千夫生家とともに九十九里浜を訪れている。つまり、この歌も左千夫絡みの内容ということになる。(つづく)

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